喰らえ、メテオストライク!

転校生 二

 その日は普段と比べて教室が賑やかだった。同じクラスの三十余名は当然のこと、他のクラスからも、季節外れの転校生を拝むべく、多くの生徒が訪れた。金髪ロリ姉妹の周囲には常に人が溢れていた。

「コージマちゃん、次の授業の教室って分かる?」

「いいえ。分からないので、教えて頂けると有り難いのだけれど……」

「おっし、それなら俺に任せてよっ!」

「ありがとう。日本の男の子は優しいのね」

「そ、そんなことないってっ!」

 朝のホームルーム、すれ違い様に呟かれた言葉は、こちらの聞き間違いなのではなかろうか。この一点を確認したかった。けれど、人の輪の中心に居る彼女たちには、話し掛ける隙がなかった。

「ハイジちゃん! 一緒にお昼ご飯たべよう?」

「うんっ! お弁当、とっても楽しみにしてたんだっ! いいよね、お弁当!」

「あ、ハイジちゃんのお弁当ってば、めっちゃめちゃ可愛いぃー!」

「えへへー、いいでしょー? 早起きして頑張って作ったんだよぉ!」

「え、自分で作ったのっ!? すごぉーいっ!」

 昼休みは当然として、授業の合間の僅かな休み時間も、人の流れはひっきりなし。果ては移動時間や授業中、彼女たちが何を行うにしても、傍らには誰かしらが傍らに付いていた。それこそまるでアイドルのよう。

「コージマちゃん! ハイジちゃん! 今日の放課後は空いてる? 二人の歓迎会をしようって、このクラスの連中で話してたんだけど」

「申し訳ないのだけれど、今日は他に予定が入ってしまっているの」

「ごめんねっ! また別の日に誘ってもらえたら、今度は絶対に行くからっ!」

「じゃあじゃあ、空いてる日とか、教えて貰ってもいい? お願い!」

「うんっ! えっとねぇ……」

 もしも俺がクラス内ヒエラルキーの上の方にいたのなら、彼女たちと接点を持つことは容易だったろう。けれど、どちらかと言えば下の方、というか最底辺に位置する昨今、他のクラスメイトを押しのけてまで、会話の場を得ることは憚られた。

 いつもと変わらず、寝たふりと文庫本に過ごす一日だった。