金髪ロリ異世界転生俺TUEEEラノベ

第一話

 町へはすんなりと入れた。良かった良かった。

 ドラゴン氏がどこへ行ったのかは知らないが、特に大きな騒ぎになっている様子もないので、上手いことやっているのだろう。もしかしたら、ドラゴンの街中への離着陸が、日常的な世界なのかもしれない。

 いずれにせよ俺には関係ないことだ。

「異世界転生っつったら、冒険者ギルドでダンジョンだろjk」

 そこいらのオッサンをつかまえて、ギルドの場所を聞き出した。

 んで、今まさにその建物へと入った。

 店内は冒険者ギルドだ。冒険者ギルドっぽいものを想像すれば当たりだ。ファンタジー系のゲームやネット小説のそれだ。異世界転生俺TUEEE大好きな人間の考えるテンプレ的な背景だ。酒場で飯で荒くれ共の情報な掲示板だ。

 そこでカウンター越しに、店員から冒険者ギルドの仕組みを聞く。

 すると、これまたどこかで聞いたような説明をされた。何故に話が通じるのかとか、国家間の言語の問題はとか、その辺はドラゴン氏と会話が成立した時点で記憶の彼方だ。通じるんだから、それでいいじゃない。

 ランクはFからSSSまでだそうな。Fが子供のお使い。S以上は国際的な有名人的な達人的な、お前なんか千年かけてもなれねーよ、とのこと。実際の腕前は知らないが、こういうのはイメージが大切だ。そういうもんなのだと想像しておけば良いだろう。

 元居た世界のジャニーズとかAKB48みたいなものだ。こっちじゃテレビとかアイドルユニットとかないから、代わりに冒険者がそういう立ち位置にあるんだろう。アメリカで特定の軍人が人気なのと同じだ。

 そんな具合に説明は続く。

 その他諸々、受けることの出来る仕事は同じランクだとか、パーティーを組むと一つ上のランクが選択できるだとか、失敗すると報酬が貰えずに、損害賠償を請求されるケースもあるだとか、説明された。

 まあゲームでもなんでも、良くあるパターンだ。

 そんなこんなで、無事に冒険者ギルドの登録完了。ちなみにカネは掛からなかった。初回登録無料とか、どこのレンタルビデオ屋だよ。せめて登録料くらい取らないと駄目だろ。しょせんはファンタジーだな、ファンタジー。

 早速、カウンターから離れて、店の隅でステータスの確認だ。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート
HP:8/9
MP:0
STR:3
VIT:2
DEX:6
AGI:1
INT:8
LUC:1

 ジョブがニートのままじゃねぇか。

 しかもHPも減ったままだ。どうやったら回復するんだよ。

「冒険者ってのは職業じゃないのか……」

 騙された気分だろう。とは言え、ニートだから何が悪いかと言えば、別にどうでもいい。ニートはどこまで行ってもニートだ。心がニートなのだ。誰かに何かを宣言したところで、そう易々と脱出などできるものか。

 現に、最初の仕事を探しますか? という店員の問い掛けにも、ノーと答えた後である。近所の森で薬草を探したり、動物を狩ったり、そういう仕事がランクF、今の俺に選べる仕事なのだそうだ。

 そういった肉体労働は、俺には向かない。俺に向いてるのは、知的なデスクワークなんだよ。スーパー天才ラノベの狼と香辛料でも、出来る商人は指先をインクで少し汚すだけって言ってただろう。マジ名言だよ。俺はインクの汚れすら御免だけどな。

 出版社に就職して、売れないラノベ作家に駄目出しする係になりてぇな。

「くっそ、カップ麺食いてぇ。あとコーラ飲みてぇ」

 カネが無いから、飯を買えない。

 腹減ったのに、どうしてくれるんだ。ババァ、飯寄越せよ、飯。

 唸っても出てこないけどな。

「あー、めんどくせぇ」

 ちっともやる気が出てこない。

 それもこれも美少女が登場しないからだよ。美少女さえいれば、美少女さえ俺のチンポを咥えてくれれば、薬草摘みだって、動物ハンティングだって、がんばれるのに。

 くっそ、美少女め。

 どうせ、どっかでイケメンのチンポ咥えてんだろ?

 マジで死ねよ美少女。

 イケメンは頑張ったら頑張った分だけ、美少女がチンポを咥えてくれるんだよ。そんなもん、一生懸命になって成果出すなんて当然じゃねーか。そんなご褒美あるなら誰だって一生懸命になるわボケが。

「ふざけんじゃねぇっ! このクソガキがっ!」

「ひぃっ、ご、ごめんなさいっ! チンポ咥えて欲しいとか、不細工ニートの分際で偉そうなこと言って、ごめんなさいっ!」

 怒鳴り声が聞こえて、思わずその場にしゃがみ込む。

 謝ってしまう。

 けれど、怒鳴られたのは俺じゃなかったらしい。

 そもそも俺はガキじゃない。いい年した大人だ。呼ぶならクソ大人だ。

 騙しやがったな、ちくしょうが。

「いいじゃんかよ! ちょっとくらい早くたって!」

「規律は規律だ、これ以上、仕事の邪魔するならぶん殴るぞっ!?」

「邪魔なんてしないから、登録してくれよっ! 冒険者に!」

「いいから黙って出てけっ!」

「ってっ……」

 カウンター越し、少女が店員のマッチョ男性に脳天を殴られる光景。

 推定十歳。どストライク。オマンコ的にどストライク。

 きた、俺のヒロインが登場だ。金髪ロリータだ。背中に掛かる長い髪と、色白の肌と、青い瞳。美形。まさに待ち望んでいたヒロインだ。こういう子にエッチな悪戯をするのが、俺の夢だったんだよ。小学生の援助交際とかマジ最高。

 貧乏くさい格好しているのも点数高いぜ。ホームレス少女とか美味しすぎる。

「おいおい、なんの騒ぎだよ」

 大急ぎに立ち上がる。

 俺は何気ない調子を装い、ちょっとニヒルな感じで、少女の元へと向かった。

「ん? お前はさっき登録したばっかの……」

「よければ話を聞かせて貰えないか?」

「あぁ?」

 妙な顔を見せる店員にねだり、俺は事情を聞いた。

 なんでもギルドへの登録は十五歳から。そして、俺のヒロインは十歳。なんとかして登録したいけれど、年齢が足りなくて登録できない。いやだー、ワタシ登録したいのー、とのこと。ジェットコースターの身長制限に引っかかって涙目の小学生って感じだ。

「なるほど、なるほど」

「おら、そういうことだから仕事の邪魔だ。ガキは消えろ」

「頼むっ! いいじゃんかよっ!」

 ヒロインは必死だった。何か理由でもあるんだろう。

 両手を合わせて拝みポーズだ。

「なるほど、なるほど、そういうことなら俺が力になろう」

「あぁ? 何いってんだ、おめぇは」

「オッサン、アタシのこと助けてくれるのか?」

「ちょっとこっちへくるといい。良い話がある」

「え、あ、う、うん」

 俺が腕を引くと、少女は素直にカウンター前から離れた。

 内心、ガッツポーズを浮かべて、俺は少女を建物の外まで誘導である。店員は終始渋い顔をしていたが、まあ、気にするもんじゃない。何か言っていたような気もするが、金髪ロリータを前としては、全てが無意味で無価値だ。

 ロリの二の腕が柔らかくて気持ちえぇ。かなり臭うけど、それも含めて舐めてぇ。

		◇		◆		◇

 冒険者ギルドを後としてしばらく。人の少ない方へ、少ない方へ、小走りに移動した。そして、周りに人の目のない細路地へ入ったところで、俺はヒロインに向き直る。

「お、おい、こんなところで話って、なんだよ?」

「おじさんさ、さ、さっき冒険者に登録したばかりなんだ」

「……だったら、なんだよ?」

「よければ、君と一緒に冒険をしようと思うんだ。どうかな?」

 フヒヒヒヒヒ。

 思いの内を打ち明ける。

 僕と付き合って下さい。

「……オッサンと一緒に?」

 あからさまに訝しげな表情となる金髪ロリータ。

 まあ、当然だろう。けれど、俺は引かないぜ。

「冒険で手に入れたお金とかも半分こでいいから。な? どうだ?」

「うっ……それは、その……」

「ギルドとかの処理は全部おじさんがやってあげるからさ」

 なんつーか、幼女誘拐とかしちゃう人間の心理を、少なからず理解した気分だ。これは堪らない。楽しすぎる。自分好みの女と対等に話をするっていうのは、こんなにも楽しいものだったのか。

 世のヤリチン共がナンパに精を出す理由も分かった気がする。もしも元の世界に戻れたのなら、絶対に小学生ナンパするわ。

「こんなこと、他じゃ絶対にないと思うぜ? な? いいだろ?」

「……本当に半分、くれるんだよな?」

「ああ、上げるとも。嘘なんてつかないさ」

「……本当に本当か?」

「当然だって。末永く一緒に冒険して、ランクとか上げてこうじゃないか」

「…………」

 今の俺、相当にキモイ顔してるだろうな。自覚あるもの。

 けど、今は押すべき時だ。押して押して押しまくるぜ。

「な? いいだろ?」

 ならば、俺の熱意が通じたのだろう。

 しばらくを悩んだところで、少女は小さく頷いて応じた。

「わ、分かった。一緒に冒険者する」

「おぉっ、マジかっ! ありがとう! マジありがとう!」

「……大げさなオッサンだな」

「いやいや、オッサンも一人じゃ不安だったんだよ。マジマジ」

「ふぅん……」

 これほど嬉しい出来事が、過去にあっただろうか。

 いいやない。マジでない。

 生まれて初めてナンパに成功しちゃったよ。しかも金髪ロリータを。

 嬉しすぎる。小躍りしそうだ。

「でもオッサン、冒険って言っても、どうするんだよ?」

「俺が仕事を取ってくるから、途中で合流して出発だ。薬草採集でいいよな?」

「なるほど、そう、そうだな」

「おうよ。んじゃ、さっそく仕事を取ってくるわ!」

「アタシはここで待ってればいいか?」

「おうっ! 逃げるなよ?」

「に、にげねぇよっ!」

 ちょっとやる気が出て来た。

 たまには頑張ってみるのも悪くなさそうだな。

		◇		◆		◇

 このステータスウィンドウってヤツは、毎度のこと俺を不快にしてくれる。

 理由はこれだ。


名前:ベス
性別:女
種族:人間
レベル:3
ジョブ:浮浪児
HP:6/12
MP:3
STR:4
VIT:3
DEX:7
AGI:6
INT:8
LUC:3

 この金髪ロリータ。俺よりステータスが高い。全部高い。

 俺は子供以下らしい。MP3とか、超絶羨ましいわ。ちくしょう。

 頑張ればメラくらいなら撃てるんじゃね? 死ねよ。

 いや、ロリは死ぬな。マンコもったいない。

 いかんな、どうにも心が荒んでる。ここ数時間、エロ画像を見てないからだ。

「おい、オッサン。いきなり止まったりして、どうしたんだよ?」

「あぁ、いや、なんでもない、なんでもない」

「……大丈夫かよ? なんか疲れてるみたいだけど」

 おぉ、俺なんかを心配してくれるのか。良い子だ。なんて良い子だ。

 ちなみに今は近所の森で薬草採集などに興じている。幸いにして、採集すべき草の外見はヒロインが知っていた。もしも一人で来ていたら、きっと途方にくれていた筈だ。春山にヨモギを取りに行くような感覚で向かっては、泣きを見ていただろう。

 薬草の発見率も大したもんだ。

 なんつーか、割とガチでコイツを誘って良かった。

 先程の細路地で、一緒に冒険する代わりにちょっとオマンコ触らせてくれよ、とか言おうと思ったけど、我慢して良かった。マジ良かった。セフセフ。伊達に俺よりステータス高くない。でもINTって賢さだったよな?

「大丈夫、ぜんぜん大丈夫だって」

「そうか? ならいいけどさ」

「あ、あぁ、心配してくれてありがとな」

「別にそんなんじゃねぇよ。オッサンが倒れたらアタシが困るんだから」

 多少ばかり言葉を交わしたところで、後は地べたにしゃがみ込んで薬草採集。

 モクモクと採集。

 取れるだけ取りまくる。

 かなり長いこと続けた。二時間はそうしていただろうな。

 冒険者ギルドで貸して貰った袋一杯に薬草が詰まった。

「こんだけ採れば十分だろ。マジで疲れたわ」

 その場に立ち上がり、背筋を伸ばして軽く身体を捻る。随分な運動になった。草むしりなど何年ぶりだろうか。身体のあちこちが悲鳴を上げている。大きく胸を反らして両手を広げると、コキリ、小気味良い音が鳴った。

「オッサン、凄い貧弱だよな」

「いいんだよ。オッサンは温室育ちなんだから」

「じゃあなんで冒険者なんて始めたんだよ?」

「そ、そりゃまあ、俺にだって色々と事情ってもんがあるんだ」

「ふぅん……」

 物言いたげな眼差しに見つめられた。

 金髪ロリータと生会話しているというだけで、勃起してしまいそうだ。更にそんな視線を向けられたら、勃起している。まさに勃起を始めているぞ、俺の息子は。ジーパン穿いてるから、あんまり目立たないけど。

「っていうか、そっちこそなんで冒険者なんだよ?」

「あ、アタシか?」

「そうだよ。アタシだよ」

「それは、その……」

 逆に俺が問い掛けると、妙に慌てる。

「随分と必死だったじゃんか」

 負い目でもあるのだろうか。

 なんとなく気になって訪ねる。

 するとまあ、返ってきたのは重い言葉だ。

「か、母さんが病気だからだよ。薬を買うのにカネが必要なんだ」

「……マジかー」

 面倒臭い話だ。聞かなきゃ良かった。発言に対するフラグは十分立ってたのに、ついつい聞いちまったよ。むしろ今の流れだと、こうならない方がおかしいだろう。

 とは言え、それくらい鬼気迫る理由があるなら、俺は当分、この子を視姦しながら、薬草収集を続けられるってもんだ。悪くないと言えば悪くない。

 今晩のオナニーは、採集の最中にチラ見した橫乳とパンティーに決定している。

「そりゃまた、大変だな」

「別に同情なんていらねぇよ。それだったらカネくれよ」

「俺もカネは持ってねぇよ。無一文だし」

「んだよ、使えないオッサンだな……」

「うるせぇよ。んなことお前に言われるまでもないわ」

 ステータス画面を確認した時点で理解してるっつーの。

「ちゃんと半分、よこせよな」

 それは暗に半分以上寄越せという催促なんだろう。お涙頂戴的な。

 まあ、身分が卑しければ、相応に心も卑しくなるもんだ。仕方ないさ。

 清貧なんてありえねぇよ。そんなもんは人が作った都合の良い作り話だ。

「分かってるよ。ちゃんと半分で分けるってーの」

「ふんっ……」

 何が気に入らなかったのか、プイと橫を向いてしまう金髪ロリータ。

 とは言え、そこまで期待はしていなかったのか、怒った様子も無い。

 そんな具合でコミュニケーションは終了。後は薬草持って帰るだけ。

「んじゃ、そろそろ町に戻るか。日も暮れそうだし」

「分かった」

 そうして、記念すべき俺の冒険譚は幕を閉じた。

 つもりだったんだが、ここから始まるのがアフターファイブってヤツだ。残業申請してないのに、モンスターが襲い掛かってきて、タイムカードを切っちまったOLは涙目でファイヤボール。課長! 今晩は彼氏とデートがあるんです!

「な、なんだよコイツ……」

 金髪ロリータが言った。

「すげぇデカイな……」

 俺も言った。

 ガサゴソと物音が響いたんだよ。だから、振り向いたんだよ。そしたら、妙にデカい犬みたいなのが、ハァハァしながら俺らのこと見てるじゃないか。

 ゴールデンレトリバーの三倍くらいあるわ。

 熊でも殺せそうな面構えだ。

 近場の森で簡単な仕事をしていたら、想定外の強敵に襲われて大ピンチとか、この手の世界観じゃあ頻出パターンだ。ドラクエの最初の町でスライム系のモンスターが出現するにくらいに一般的だ。

「……ハウンドウルフ……」

「どっかで聞いたような名前だな」

 あまりにも候補が有り過ぎて、どれだとは言えないが。

「オッサン、もしかして倒せたりとかしないか?」

「無茶言うなよ。死んじまうだろ」

「……しないよな。そうだよな」

「悪かったな。弱くて」

 せっかく転生したのに俺TUEEEする間もなく終わりかよ。

 とりあえず、この犬のステータスを確認してみるか。


名前:ポチオ
性別:男
種族:ハウンドウルフ
レベル:35
ジョブ:ニート
HP:1800/2000
MP:0
STR:300
VIT:150
DEX:200
AGI:330
INT: 80
LUC: 45

 こいつニートかよ。俺と同じじゃんか。

 あとINT80って、犬の分際で俺の10倍頭良いとか、三回まわってくたばれよ。

「オッサン、に、逃げるぞっ」

「い、言われなくても逃げるってーのっ!」

 金髪ロリータと頷き合う。

 いっせーので、で走り出した。

 だが、四本足は速かった。

「うぉああっ!」

 二人並んで走り出した俺と金髪ロリータ。

 狙われたのは後者だった。きっと犬は、こっちのが身体が小さいから、弱いと考えたのだろう。子供だからより簡単に倒せるとふんだのだろう。流石はINT80だ。天才的な頭脳じゃないか。

 しかし、馬鹿め、実はそっちの方が強いんだ。俺の方が弱いんだぜ。

「うぉあああああああっ!」

 仰向けに倒れた金髪ロリータ。そこへ犬がのし掛かる。

 グアバァと大きく口を開いて、今にも相手の喉に噛み付かんとする。

 こりゃもう無理だろう。

 俺も思わず硬直だ。次の瞬間には血がぶしゃぁといくだろう。

 そんなふうに考えていた時期が私にもありました。

「喰らえっ! アイスアロー!」

 イケメンボイスが響いた。最近はイケボとか言うらしいな。

 俺はその略称が凄く嫌いだわ。

 女がデブをポチャと取り繕うのと同じくらい嫌いだ。

「ワォオオオオオオオン!」

 犬が吠えた。何やら脇腹に氷柱のようなものが、数本ばかり突き刺さっている。

 そして、突き刺さった部位を中心として、犬の身体が凍り付いてゆく。パキパキと音を立てて、氷はゆっくりと表面を覆うように面積を増してゆく。

 なんかスゲェ。

 数秒の後、犬は完全な氷の彫刻となっていた。

 ピクリとも動かない。

 札幌冬の雪祭りもビックリだ。

「大丈夫かっ!?」

 かと思えば、余所から駆け寄ってくるイケメンが一人。

 金属に作られた鎧を着ている。手には剣を持っている。どんな男だと訪ねられたら、騎士っぽいやつ、と答える。首から上はモナコのアンドレア王子みたいな、すっきり爽やか系イケメンだ。

 一言で説明するなら、中世ヨーロッパのイケメン騎士でいいだろ。

「あ、あ、あぁ……」

 放心状態の金髪ロリータの下へ一直線だった。

 当然、俺は放置だ。無視すんじゃねぇよ。ちゃんとこっちも構えよ。

「大丈夫か!? 怪我はないかっ!?」

「あ、あぁ、ありがとう。ありがとう、ございます……」

「それならば良かった」

 金髪ロリータが頷くに応じて、中世ヨーロッパのイケメン騎士はホッと胸をなで下ろす。

 確かに良かった。それは俺も同感だ。

 そして、ここまで話が進めば、俺にも後の流れは容易に想定された。

「おい、お前っ! こんなところで子供を連れてどういうつもりだっ!?」

「お、おうふっ……」

 イケメンは金髪ロリータを危地に晒したことに対して、俺を責め立てた。なんで子供を連れて森に入ったのだと。まったくもってその通り。でもそんなに怒らなくたっていいじゃんかよ。グチグチと説教された。

 そして、こちらが項垂れている間に、イケメンは金髪ロリータと共に、森を脱出する算段を立てる。近くに馬を止めてあるとかなんとか。俺の可愛いヒロインは、これにコクコクと頷くばかり。

 俺も連れてってくれ、そう言ってみたら、悪いな、のび太。この馬は二人乗りなんだよ、的なこと言われた。んなこと見れば分かるわクソが。馬に三人も乗れるかよ。仲良く歩いて帰れば良いだろうが。

 あー、死ねよジャイアン。映画でばかりカッコつけるとか、典型的なDQNじゃんか。俺はヤツが嫌いだね。あと、隣にいるスネ夫はもっと嫌いだ。金持ちだからな。エクセレントむかっ腹だわ。あれだよあれ、普段悪いことしてるやつが、たまに良いことしたら妙に周りから褒められるってやつ。

 どれくらいムカついたかというと、何が好きかじゃなくて、何が嫌いかで自分を表現しろよ! って台詞を思いついて、マジ名言じゃね? ってネットで検索したら、全く正反対の台詞をワンピースの主人公が言ってたときと同じくらいムカついたね。流石はジャンプの売れ筋漫画の主人公様だ。その前向き具合が眩しいわ。

 あーもーマジで俺以外全部死ねよ。

 結果、一人で町へ帰る羽目となった。

 クソ、イケメンにヒロインを奪われちまった。

		◇		◆		◇

 翌日、俺は冒険者を止めた。

 止めたとは言っても、何か手続きをした訳ではない。ただ、そういう心持ちになったということだ。せっかく手に入れた俺の金髪ロリータなのに、イケメンというだけで持ち去りやがった、あのいけ好かない騎士野郎のせいだ。

 クソが。

 まあ、金髪ロリータ当人としては、ハッピーな展開だったろうがな。

 ちなみに昨晩は、冒険者ギルドの近くにあった宿に泊まった。

 安いところを教えてくれと店員に言ったら、教えてくれたんだ。

 宿泊費には薬草集めで手に入れた金を使った。

 一応、半分はヒロインの為にとってある。けれど、きっと不要となるだろう。森の中で遭遇した騎士系イケメンは、顔が良ければ身なりも良かった。ヤツが俺TUEEEしたのならば、少女の病弱な母親も、今頃は即日でフルマラソンをキメられるくらい元気になってる筈だ。それがイケメンパワーってやつだ。

 あぁ、俺の金髪ロリータ。サラバ。

「……ちくしょう、辛めのジンジャエール飲みてぇ」

 もう花でも育てるかな。ドラゴン氏もハマってたハイソな趣味だし。

 そうだ、ステータス確認しとくか。せっかくのステータス機能だ。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート
HP:9/9
MP:0
STR:3
VIT:2
DEX:6
AGI:1
INT:8
LUC:1

 HPが回復してる。

 そこいらのRPGと同じで、宿屋に泊まると回復する仕組みなのか。

 あるいは単純に疲労が癒えたからなのか。

 まあ、どっちでもいいや。考えるのも面倒だ。他のステータスが残念すぎて、見てるだけで憂鬱な気分になってくるぜ。そう言えば、あの騎士野郎のステータスとか、確認してなかったな。見たくないからいいけど。

 特に目的もなく町を歩く。

 随分と賑やかだ。休日のアキバや渋谷くらい賑やかだ。

 向かう先、出店が幾つも並んでいる。その中の一つにダンジョン饅頭と書かれた垂れ幕を発見。温泉饅頭の親戚みたいなもんだろう。

 もちろん、お金が勿体ないので買うことは無い。こういうのは高くて不味いって相場が決まってるんだよ。流石は俺、情強な判断だ。

「あー、そういや、ここってダンジョンあるんだよな、ダンジョン」

 いいよな、ダンジョン。

 ダンジョン。ダンジョン。

 せっかくだ、行ってみるか、ダンジョン。

 ダンジョンと銘打つ饅頭が売られているくらいだ、ちょっと観光するくらいなら大丈夫だろう。やばくなったら速攻で逃げれば良い。

 ダンジョンへ向かうこととした。

		◇		◆		◇

 ダンジョン地下一階。

 下に伸びるタイプらしく、一番浅いところだ。入ってすぐの。

「普通に不思議のダンジョン系じゃん」

 ゲームほどはカクカクした部屋の作りじゃないが、雰囲気はそれっぽい。自然発生した洞窟であれば、歩くだけでも体力を使うと思ったのだが、普通に舗装してある。作ったの誰だよ。余裕でアミューズメントしてるじゃんか。

 ちなみに所在は町の中央付近。周りを高い塀に囲まれている。なんでも最深部は未だ不明らしい。よくまあ、そんなもんの周りに町を作って、観光名所にできるわな。なんでも町の方が後から出来たらしい。はっ、どうでも良い知識だな。

「この方が歩くには、楽でいいけどな……」

 周りには何やら剣とか杖とか持った若いヤツがいる。

 十代前半が多い。なんか俺だけ場違い感。

 二回り世代が下だよ。きっとコイツら、ゲームボーイ知らないんだぜ。

 不思議なダンジョンをパーティー制にして、あっちこっちで若いヤツが剣やら槍やら杖やらを振り回している、そんな具合だ。化け物の数は人間の数よりも少なくて、どっちかっていうと、人間が化け物を奪い合ってる。

 都合、俺は剣を振り回す若人を眺めながらの散歩だ。

 昨日の犬野郎がサファリパークのライオンなら、ここのヤツらは上野公園のふれあい広場で、餌欲しさに観光客へ媚びを売るウサギみたいなもんだ。易い易い。

「しっかし、リアルなスライムはきめぇな……」

 プルプルしてやがる。半透明になった汚泥みたいだ。

 ぶっちゃけ、剣とか使わなくても蹴りつければ倒せそうだ。

「いやいや、歩いただけでHP減るし、油断は禁物だな」

 金髪ロリータは減っていなかったので、俺だけかも知れないが。

 もしかしたら例の内臓疾患が影響しているのかもな。毒みたい感じで。

 さて、若者達の切磋琢磨する姿を眺めつつ、フロアを進む。奥の方へ向かって行くと、ある程度だけ歩いたところで、階段を見つけた。下へと進む階段だ。

「ほう、地下二階か」

 行ってみるか。この調子なら大丈夫だろう。やばくなったら逃げよう。

 森で出会った犬の方が余程に怖かった。きっとここはそういう場所なんだろう。一階には化け物もスライムとコウモリみたいなのしか見つけられなかった。お試しコースとか、そういった類いのフロアに違いない。ならば続く二階も、そこまで苦労はしまいて。

 そう決めつけて階段を下りた。

 地下二階、スタート。

 途端、俺の口から悲鳴。

「マジかよっ!?」

 なんか剣を持ったガイコツ野郎が立ってる。俺と同じくらいの大きさ。向かって十メートルくらいのところだ。照明が一階と比べて薄暗くなってるおかげで、その外観と相まって非常に気味が悪い。

 切られたら死ぬだろ、常識的に考えて。

 やめだ、やめやめだ。スライムの次は芋虫とか、そういう感じでレベルアップしろよな。いきなり武器持ってるアンデッドとかレベル高すぎだろ。

「やってられるかよっ!」

 逃げよう。決めて踵を返す。

 しかし、今に下ってきた階段がない。

「マジかよっ!?」

 どうなってんだよここは。脱出できねぇじゃんかよ。

 俺が焦っているうちにも、ガチャガチャ、骨っぽい音を立ててガイコツ野郎がこっちへと走ってくるあんまり早くないけど、数秒もすれば到着だ。

「くんじゃねぇよっ! こ、こっちくんなっ!」

 大慌てで逃げ出した。

 相手に背を向けての逃亡だ。

 全力疾走だ。

 向かって反対側が通路になっていてマジで助かった。

 遭遇は一本道だったのだ。

「ハァハァハァハァ」

 走ること数分、ガイコツ野郎から逃げ切った。

 俺のが足が速かったんだ。ざまぁ見ろちくしょうが。

 ただ、おかげで凄く辛い。バテバテだ。

「くっそっ、マジ疲れた……」

 ダンジョンが不思議っぽかった時点で、帰り道については確認しとくべきだった。こんな巧妙な罠が仕掛けられてるとは、誰だって思うまいよ。クソ。

 逃げてるあいだは誰とも合わなかった。恐らく、これが理由で一階には若人が溢れていたのだろう。そりゃ帰り道がないのに下りる馬鹿はいない。

「ったく、どうすんだよおい、マジで」

 マジで疲れたし。

 思わず座り込む。

 額にはびっしりと汗だ。

「そうだ、ステータス確認しときゃ良かった」

 客観的にどのくらいヤバイかくらいは計っとくべきだろ。

 まあ、二度と会いたくないけどな。

「っていうか、これからどうするよ」

 まさか二十七階まで下りて、幸せの箱を取ってこいとか、無茶な仕様じゃないだろうな。トルネコさんはああ見えて勇者のパーティーの一員だ。きっと、この世界に換算したら、ランクSとか、そういう感じだろ。

 あぁ、でもLv1スタートで、普通にスライムにも殺されてたよな。

 どっちだよトルネコさん。俺に正解を教えてくれよ。

「くっそ……」

 頭を下げて、ハァと溜息。ここ最近、溜息が多いな。

 カチャン。

 なんか音がした。

 見上げると、数メートル先、角から姿を現したガイコツ野郎。

「また出やがったっ!」

 大慌てに立ち上がり、再び走り出す。

 もう、そこから先は無我夢中だ。

 ひたすらに走った。

 階段を見つけて下りたら、またなんか変な化け物が出てきた。

 ひたすらに走った。

 同じように階段を見つけて下りたら、またまた変な化け物が出てきた。

 ひたすらに走った。

 そうした具合に、レベル上げを放棄して、ひたすらに階を下る羽目となった。運が良いのか悪いのか、さっぱり分からない。しかも、階を下るごとに、俺を追い掛ける化け物の面が、姿が、厳つくなっていく。

 頭に角の生えた馬だったり、背中に羽の生えたゴリラだったり。森で出会った犬の方がマシだと思える手合いが、そこらじゅうに転がっていた。いったいここの生態系はどうなってやがる。そもそも食い物とかどうしてんだよ。

 そうこうしている内に、数えること早二十二階。トントン拍子に下ってしまった結果、周囲の風景さえ姿を変えて、そこはまさに高レベルなダンジョンの態。照明は薄暗く、壁の作りもおどろおどろした感じだ。

 まさか壁越えてドラゴンの炎とか飛んでこないよな。

「……マジでやべぇよ。おい、やべぇよ」


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート
HP:1/9
MP:0
STR:3
VIT:2
DEX:6
AGI:1
INT:8
LUC:1

 しかも延々と走り回ったせいでHPがガクッと減ってやがる。

 1しか残ってねぇよ。あとちょっと走ったら死んじまうよ。

「くそ、意味がわかんねぇ……」

 あと、いちいちニートって文字が見えて、ウィンドウを開く都度ムカつくわ。

 右を見て、左を見て、特に動くモノは無し。道幅三メートルくらいの薄暗い一本道な通路。その隅っこに寄って、壁に背をもたれ掛からせるよう、俺は小休止とした。走り回ったせいでスーパー疲れた。

「ハァ……ハァ……」

 ちょっと休み。五分くらい休み。

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 いや、十分は休もう。せめてHP2くらいまで。

 などと思っていたら、凄い勢いで俺の足下を通り過ぎる小動物が一匹。

「うぉっ!?」

 心が敏感になっていたのだろう。まるでゴキブリにでも遭遇したよう、反射的に飛び上がってしまう。

 すると、何やらグニャリ、足の裏に柔らかい感触が伝わる。

「げっ、なんか踏んだ……」

 犬の糞でも踏んだような気分だった。柔らかい。

 どうやら小動物は二匹編成で俺の足下を進行予定だったらしい。一匹目に驚いて飛び上がったところ、二匹目の上に着地してしまったようだ。

 ネズミかなにかだろうか。気味が悪い。

「なんだよおい……」

 足の下に意識を向けると、紫色の液体を滲ませて潰れる、ネズミくらいの大きさの小動物がいた。体毛がふさふさしている。パット見た感じ、猫を小さくしたような外見をしている。子猫みたいな感じだ。

「うわ、死んじまったよ」

 はらわたブチまけて死んでるよ。

 おかげで靴は、そいつの血液でべっとりだ。

「死ぬなら人に迷惑かけないで死ねよな……」

 くっそ、キタネェ。

 靴の裏を床にこすりつけて、付着してしまった臓物を拭う。クソ、俺のコンバースが汚れちまった。まだ買ったばかりなのに。


武器:なし
防具:ユニクロ
頭:なし
足:血塗られた コンバース
装飾品:

持ち物:
お金:0G
ステータス:運動不足、内臓疾患、疲労

 コンバースに妙な称号が付いてるな。まあ、後で水洗いすれば落ちるだろ。

「…………」

 そこでふと気付いた。息切れが感じられなくなってる自分の肉体に。なんか身体の調子がすこぶる良い。無性に跳んで跳ねて暴れ回りたい気分。そんな感じ。

「……なんだよおい」

 俺の身体に何が起きた? あぁ、こういう時こそステータスだ、ステータス。

 もしかしてレベル上がったんじゃね? そんな淡い期待だ。

 今踏みつぶした小動物に含まれてる経験値が、俺のなかに取り込まれて、良い感じにゲージ100%を到達したんだろう。小動物踏みつぶしただけでレベル上がるとか、お手頃でいいよな。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート64
HP:5900/5900
MP:0
STR:2400
VIT:3200
DEX:4920
AGI: 900
INT: 310
LUC: 540

 ニート64? 64ってなんだよ? 上がる場所そっちじゃなくね?

 でも、ステータスはちゃんと上がってるっぽいな。

「……あれか、ギグニ族がギグニ族2になるようなもんか」

 っていうと、俺はモンスター枠なのか? ちゃんと人間って書いてあるのに、ニートってだけで扱いが酷いだろ。いやまて、ギグニって別にジョブじゃないよな?

 しかも、いきなり64ってなんだよ。上がりすぎだろ。なんでも64付けたがる、一昔前のゲーム機みたいだな。すげぇ適当な感じがするわ。

「HP5900とか、何日走り続けられるんだよ。すげぇな」

 かなり強くね? 森で出会った犬より強いだろ。

「もしかして、あれか。今倒したのはドラクエでいう、はぐれメタル的なやつか」

 それなら急なステータス向上も納得だ。

 つまり、あの小さいヤツを探して踏みつぶせば、もっと強くなれる訳だ。

 レベルじゃなくて、ニートの後ろにナンバリングされたのは、えぇっと、そうだな、なんだろ、あぁ、分かった。きっとステータスウィンドウのバグだ。そう考えれば辻褄が合う。そうに違いない。

 おいおい、良い感じじゃんか。段々と俺TUEEEの方向性が見えてきたんじゃないか? この近くでさっきのネズミもどきを潰しまくれば良いんだよ。楽勝じゃん。いよいよ俺の時代が始まっちゃうかね。

 雑魚を殺して、ちまちまレベルアップするより、こっちの方が効率的で俺向きだよな。それならそうと、最初から案内してくれればいいのに、マジで遠回りしちまった。最初からここへ転生させろよな。

「おらっ! ネズ公が、出て来いや! ちくしょうが!」

 身体に漲るパワーみたいな、エネルギーみたいな、そういう感じの猛烈なイケイケ感が俺を強くする。今なら町のDQNに喧嘩売っても余裕で勝てそうだ。

「おらおらおらおらっ、こいやおら!」

 歩く。

 ちょっと早歩きで歩く。

 すると、少しばかり歩いたところで遭遇。

 ネズミじゃなかった。なんつーか、ミノタウロス的なの。グーグルの画像検索で、ミノタウロスとか入力して、上の方に出てくる感じのやつ。通路の角を曲がったところで、遭遇してしまったよ。ばったり、っていう擬音がスゲェぴったりな具合で。

「うぉおお……」

 ちょっとヤバいんじゃね? 魂がそう言ってる。

 魂は具体的に数値で教えてくれないので、ステータス画面を見る。


名前:ミノル
性別:男
種族:ミノタウロス・ロード
レベル:182
ジョブ:専業主夫
HP:  90/21590
MP: 300/3000
STR:32001(+5000)
VIT:20300(+2000)
DEX:14920
AGI: 2900
INT: 5410
LUC: 2540

 俺の魂、大正解。こいつはヤベェ。

 しかも、牛の癖に嫁持ちかよ。専業とか羨ましいな。俺も主夫してぇ。

「HP90とか、死にかけじゃんかよ。何してきたんだコイツ。もしかして、あれか? 嫁と喧嘩して家を追い出されたのか? HP90まで削るとか、ひでぇ嫁だな」

 一瞬、俺でもイケルかも、とか思った。けど、ステータス画面から本体へと視線を移したら、なんかもうやる気満々の牛野郎。手に俺よりでかい斧持ってるし、こんなもんで切られたら真っ二つだ。

 こりゃ無理だわ。ニート64には無理だわ。せめてニート1000くらい欲しい。

「い、いよぉっ!」

 INT高いし、もしかしたらドラゴン氏のように、話せる化け物かもしれん。ちょっとばかし、穏やかに挨拶をキメてみる。できるだけ爽やかさをアピールしてのこと。できれば穏便にやり過ごしたい。

 が、

「ミノォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

「うぉおおおおおおおおおおおおっ!」

 駄目だコイツ。話が通じねぇよ。クソ。

 いきなり襲い掛かってきやがった。あと体臭がスゲェ。マジくせぇ。ワキガか?

 これだから脳筋は嫌いなんだよ。俺よりINT高いくせによ。もしかして、馬鹿にしてんのか? INT8舐めてんのか? いや、今は310か。

 言いたいことは色々とあるけど、走って逃げる。

 今まで歩いて来た道を逆方向へ。

 数百メートルばかり追いかけっこ。辿り着いた先は袋小路。

「マジか−!」

「ミノォオオオオオオオオオオ!」

 絶体絶命ってやつだろう。ミノォオオオ、じゃねぇよ馬鹿野郎。

 数メートル先にミノルが立っている。斧を構えて立っている。鼻息が超荒くて、牛面のこめかみには青筋がピクピクと浮かび上がっては痙攣。すげぇキレてる感だ。

 俺が何したよ。マジごめんなさい。

「ヤバイ、なにか無いのか何か」

 そういや、俺にはスキルってないのかよ。あのイケメン騎士も氷柱とか飛ばしてたじゃんか。ああいうのがあれば、もしかしたら、もしかするかもしれないだろ。

 残りHP90なら、氷柱とか撃てば、勝てるかもしれない。

「スキルウィンドウだよ、おい、スキルウィンドウっ!」

 念じると出てきた。スキルウィンドウ。


パッシブ:
 内臓疾患 Lv2
 虚弱体質 Lv3
 アトピー Lv5
 ワキガ Lv10

アクティブ:
 すかしっぺ Lv3

 ねぇよ。役に立ちそうなのが一つもねぇよ。

 っていうか、俺はワキガだったのかよ。ショックだよ。言われるまで気付かなかったよ。どおりでシャツの脇部が黄ばむわけだ。他人が距離を置いて話たがるわけだ。

「ミノォオオオオオオオオオ!」

「うぃひいいいいいいいいいっ!」

 咄嗟にしゃがむ。

 横降りになぎ払われた斧が、頭のすぐ上を通過して、壁を砕いた。

 この壊れた壁ちゃんは、誰が直すんだよ。ミノル、お前自分で直せるのかよ。直せないならそういう乱暴なことしちゃ駄目だろ。

 咄嗟、牛野郎の脇をすり抜けるように走って、袋小路を脱出だ。まさか、すかしっぺでHP90削れるとは思えない。

 と思ったけど、腰が抜けて身体が動かない。なにこれダサい。

「お、おうおうおううお、頼む、待ったっ! ちょっと待ったっ!」

 壁から斧を引き抜いたミノタウロスが、俺を睨み付ける。

 今度は上段に構えられた凶器。振り下ろされれば俺は左右に両断だろう。

 何気なく、相手の股間の辺りに目を向ければ、なんか牛野郎のチンコが勃起してる。すげぇデカイ。こんなもんで犯されたら、女はさぞ幸せだろう。牛っていうよりは、馬だ、馬。めっちゃ太くて長くてマッチョだ。

「やばい、ちょっとドキドキする」

 良い感じに思考が混乱しているな。訳が分からん。

 立派なものを眺めてたら、俺まで勃起してきた。

「ミノォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 これは死んだな。覚悟も間々ならぬまま目を閉じた。

 そんな瞬間の出来事だった。

「っつえぇいっ!」

 何やら人の声が聞こえた。同時にドスンと低い音が響く。

 何事かと目を開けば、目の前には通路の壁に叩き付けられているミノルの姿。

 そして、彼の橫には美女が立つ。大きな両手剣を手に、今まさに勃起牛へトドメを刺さんと迫っていた。白銀の鎧に身を固めている。フルプレートってヤツだろう。手にした剣もまた同じ色をしている。

 歳の頃は二十代中頃だろうか。女としては、可愛らしさより麗しさが先んじて立つタイプである。胸もデカイ。Gくらいあるんじゃなかろうか。きっと鎧は特注品だ。あんなデカイもんを収めるフルプレートなんて、大量生産するもんじゃないだろ。

「ミノォオオオオオオオオオオオオ!」

 ミノルの絶叫。

 Gカップの振るう切っ先が、勃起牛の首を貫いた。

 どうやら、決着がついたようだ。

 ドスン、巨大な図体が床へと倒れ落ちる。ピクリとも動かなくなる。

「ふぅ……」

 ミノルの死亡を確認して、Gカップは大きく溜息を吐いた。ついでに手にした剣を片手に振って、ぴしゃり、付着した血液やら何やらを、明後日な方向へと飛ばす。

「そこのお前、大丈夫か?」

「お、おう、おうおう、ありがとう。マジでありがとうございました」

 勃起していたおかげで、ション便をチビらずに済んだ。

 ありがとう尿道括約筋。これからもピンチの時は勃起するよう心がけよう。

「そうか、ならば良い」

 数歩ばかりを進んで、Gカップが俺の下までやって来る。

 こっちはと言えば、フリーズしてしまった腰の再起動を実施中だ。

「ところで何があった? そのような軽装で二十階を越えた地点にいるとは」

「あ、いや、ちょっと観光気分で入ったんスけど、いきなりガイコツ野郎に襲われて、逃げてる間にここまで来ちゃったって言うか、そもそも出口が見つけられなくて、どうしたら良いのか分からないっていうか」

「観光気分で二十二層目まで来る奴がいるか?」

 Gカップは訝しげな眼差しをこちらへ向けてくれる。

「しかもコイツは、ただのミノタウロスじゃない。恐らくはロード級だ。この層に出てくるモンスターとしては、あまりにも強すぎる。しかも、今の手応えからして、随分とダメージを与えた後だ」

 倒れたミノルを眺めて、淡々と評価を下すGカップ

「お前がやったのか?」

「ち、違うッスよ。初めからああでしたよ。マジで!」

「だったら、誰がロードを……」

「きっと、嫁と喧嘩したんじゃないッスかね……」

「嫁?」

 ギロリ、睨まれる。

「あぁ、いや、なんでもないッス、なんでも」

 大慌てに両手を振って誤魔化す。冗談が通じない女だ。

「と、ところであの、ダンジョンって、どうやったら外に戻れるんスかね?」

「……そんなことも知らずに、二十二層まで下りてきたのか?」

「いや、だからその、今日初めてなもんで……」

「…………」

 Gカップが難しい顔にこちらを眺める。

 俺は何か変なことを言っただろうか。ちゃんと下手に出ただろ。問題ないだろ。

「……まあいい。ひとまず地上へ戻るとしよう」

「あ、もしかして、連れてってくれるんスか?」

「嫌なら構わないが」

「嫌なんてとんでもねぇッスよ。マジ、ありがとうございます!」

 良かった。どうやらちゃんと帰る道はあるらしい。

 あぁ、良かった。

		◇		◆		◇

 このダンジョンってヤツは、下りの階段が、下った後で勝手に消える仕様らしい。そして、上りの階段は存在しない。一連の仕組みは未だに分かってないそうだ。何故にモンスターが際限なく出現するのかも不明とのこと。

 そんでもって、一度入ってしまったダンジョンから、地上へ戻るには、特定階層に設けられた移動施設を使うらしい。この施設っていうのが、五階、十階、二十階、二十五階、と、五の倍数に配置されている。

 まあ良くあるタイプのダンジョンだな。

 唯一の例外は一階で、ここは出入りが自由だそうだ。

 だから、ああも若者が沢山溢れていたのだ。Gカップが言うには、なんでも冒険者志望の若者達が、鍛錬に使う場所らしい。スライムとコウモリを相手に剣の振り方を学ぶんだとかなんとか。

 他にもこういう場所はあるのかと訪ねたところ、無いと言われた。

 どうやら、これがオンリーワンらしい。なるほど。

 とまあ、簡単な説明を受けたところで、件の施設を利用して地上まで脱出。もちろん、途中で遭遇した色々なモンスターは、全てGカップが倒してくれた。俺は隅の方でぼけっと眺めているだけだった。

 ダンジョンから出てきた先、まず目に入ったのは、夕暮れ時の空。

 どうやら、かなり長い時間を地下にこもっていたらしい。

「生きてるって素晴らしいわ」

「これに懲りたら、二度とバカな真似はするんじゃないぞ」

 ダンジョンの入り口で、Gカップから説教を喰らう。

「もう二度とダンジョンなんて入らないッスよ」

「それはそれで極端だとも思うがな」

「いやマジ、本当にありがとうっした」

「では、私は先のロード級の件を報告しにゆく。ではな」

「う、うすっ!」

 ダンジョンの入り口でGカップと分かれる。

 そう言えば、名前とか聞いてなかったけど、まあいいか。

 もう二度と会うこともあるまい。

 あの胸は是非とも揉みたいと思うけれど、まさか、あのプライドの高そうな女が俺になびくとは思えない。そして、俺は無駄な投資はしない男だ。無理だと分かってることに労力を割くなど、アホのやることだ。

 せいぜい今晩のオナニーで脳内レイプするくらいか。ミノタウロスと乱交して、アヘ顔ダブルピースをキメる女騎士とか、マジで最高だな。想像しただけで堪らんわ。ロリもいけるが巨乳もいける。特定の性癖にこだわって、自ら世界の楽しみ方を狭めちまうのは、つまらないもんだぜ?

「……さて、宿屋に行くか」

		◇		◆		◇

 宿屋で問題発生だ。

 宿賃が足りねぇよ。

 具体的には五十ゴールドくらい足りなかった。ゴールドってのは、この国のお金の単位らしい。ドラクエと同じなんでスーパー分かりやすい。そして、お宿の値段は一泊飯抜きの素泊まりで八十ゴールドだ。きっと他へ行っても足りない感じ。

 まけてくれと頼んだけど、外に放り出された。クソだ。俺が美少女だったら、絶対にまけてくれる癖に。俺が美少女でフェラチオしてやったら、タダでも泊めてくれただろうに。ああ、本当に嫌な店主だぜ。

「……しっかし、ついに俺も野宿かよ」

 懐には薬草採集で手に入れた金銭が幾らばかりか残っている。利用すれば、もう一晩くらいは宿泊できるだろう。けれど、これは俺のヒロイン候補生であった、あの金髪ロリータの取り分だ。

 今頃はアヘ顔でイケメン騎士のチンポでもしゃぶってるんだろう。もしかしたら、騎士の仲間と一緒に乱交しているかもしれない。だが、約束は約束だ。ちゃんと取っておかねばなるまい。

 バイト探さねぇとヤベェよ。日雇いだ、日雇い。

 夕暮れから夜へ、いよいよ薄暗くなりつつある街中を急ぎ足に歩む。

 だた、多少ばかり走ったところで思い直す。

 俺はなんだ? 俺はニートだ。ニート!

 日雇い? ありえないな。

 ニートの俺が就職を決意するなんて、そんなのあっちゃいけないだろ。俺は誰かの下で苦労しながら汗水垂らすなんてごめんだ。自分の努力をピンハネして、その金で楽しているヤツがいるとか、絶対に許せねぇ。

「駄目だ駄目だ、日雇いなんてふざけんな。俺は働かねぇぞ!」

 働きたくねぇ! そもそも俺はチマチマした苦労が大嫌いだ!

 楽して女をはべらしたいんだ!

 ならどうする。どうすればいい。

 一発逆転、赤宝箱に決まってるだろ。レアアイテムをゲットして、一足お先に次のフィールドだ。周りの連中が低レベルの雑魚とじゃれあってる時に、俺は巨大な力を持つ大魔王を相手に、世界の命運を賭けてバトってたいんだよ。

「たしか、今の俺だったら、あの犬野郎より強いはずだよな……」

 ふと、ダンジョンでのレベルアップを思い出す。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート64
HP:5900/5900
MP:0
STR:2400
VIT:3200
DEX:4920
AGI: 900
INT: 310
LUC: 540

 そうそう、こんな感じだ。

 で、犬はこんな感じだった。


名前:ポチオ(故ハウンドウルフ)
性別:男
種族:ハウンドウルフ
レベル:35
ジョブ:ニート
HP:1800/2000
MP:0
STR:300
VIT:150
DEX:200
AGI:330
INT: 80
LUC: 45

 良いじゃない、良いじゃない。

 これは貰ったな。

 次は俺があの森で犬野郎から美少女を救い出し、見事にヒロインゲットだぜ。ついでに当面のベッドとご飯も手に入れちゃったりすれば、ほらみろ、宿屋なんて必要無いじゃんかよ。ざまぁみろ宿屋の店主めが。

「っしゃ、行くぞコラ」

 決まりだ。犬野郎にリベンジだ。

 そして、待っててくれ、美少女。

		◇		◆		◇

「ぜんぜん見つからないじゃんかよ、美少女……」

 森の中を歩くこと小一時間。

 未だに美少女は見つからない。

 周りは真っ暗で、一寸先も闇っていうか、なんつーか、迷った感がバリバリだ。空に浮かんだ月っぽいなにかが、唯一の光源。けど、それも樹木の葉に覆われた地上では八割減といったところ。

 ひたすらに暗い。

「田舎の夜を舐めてたわ……」

 俺はハイソな都会暮らしだったからな。夜の森とかレベル高すぎだわ。まだダンジョンのが歩きやすいっての。

「くっそ、街がどっちだったか分かんねぇ」

 迷子だよ迷子っ! 美少女はおろか、街にすら帰れねぇよ。

 更に歩くこと数時間。

 もう我慢の限界だ。

 やってらんねぇよ。美少女どころの話じゃねぇよ。

「あぁもう、くそっ、どうなってんだよっ!」

 なんかもう全てが面倒になってきた。

 苛立ちも最高潮。感情にまかせて吠えまくる。

「美少女ぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 多少なりともスッキリするが、根本的解決には程遠い。

 ただ、そんな俺の行いが、次なる展開を生んだ。

「夜に森へ入るとは、なかなか度胸のあるヤツもいたもんだ」

「ぬぉっ!?」

 なんか聞こえた。

 大慌てに声の出元と思しき側へ振り返る。

 すると、そこには鬼火よろしく、ゆらゆらと揺れる火の玉が幾つか。そして、火の玉に囲われるよう、ローブ野郎の姿があった。

 何がローブ野郎かと言えば、フード付きのローブをスッポリ着込んでいるからだ。ローブ以外で見えるのは、裾からでた足と手くらいなもんだ。

 あぁ、あとはやたらと怪しく輝いている赤い目玉。顔は見えないのに、何故だか光輝く目玉が見えるというタイプだ。良くあるパターンだな。

「な、なんだよお前っ……」

 ちょっとやばそうだった。

 そいう時はステータスだ。ステータス。

 少しバグってるけど、それなりに信憑性はあると信じてる。


名前:リチャード
性別:男
種族:リッチ
レベル:680
ジョブ:ダンジョンマスター
HP:125900/125900
MP:500000/5000000
STR: 92400(+20000)
VIT: 73200(+12000)
DEX:104920
AGI: 90900
INT:100210(+30000)
LUC:  4040

 なにこれヤバイ。

 なんでこんなボスっぽいやつが、街の近くに出るんだよ。

「リッチとか、あれだろ? ほら、アンデッド系のボスじゃんか」

「ほぉ、一目見て理解するとは、大したものだ」

「あ、いや、それほどでも」

 くっそ、犬じゃないのかよ。犬はどこいったんだよ。

 もしかしてあれか? 普段は雑魚しかでないけど、特定の時間だけ超絶強烈なモンスターが出現するとかいう。んで、そういう場所を初期の街の近くに配置して、上位プレーヤーと初心者が常に交われる環境を作るとかなんとか。

 ったく、無駄なことしてんじゃねぇよ。そんな気を遣ったMMOとか、滅多に無い癖に、こんな時だけなんでピンポイントで出て来るんじゃねぇよ! ああもう、マジでムカつくわ。そんな気配りできるデザインのゲーム、俺がやりてぇよ!

「どうした? かかってこないのか?」

「っていうか、ダンジョンマスターってなんだよおい!」

 そんな尖った仕事、そうホイホイ落ちてるとは思えないだろ。

「……ほう、そこまで辿り着いていたとは、想像以上だ」

「マジか……」

 こんなところにいたよ。不思議なダンジョンの制作者が。

 どおりで、街の近くにエンカウントする訳だ。

 こりゃクレームの一つでも入れなきゃ気がすまねぇ。

「おい、一つ言いたいんだけどよ、せめて便所くらい用意しとけよな? 急に催しちゃったり、ビビッてチビちゃったりしたら、どうするんだよ? お着替えスペース欲しいだろ!? ストレスで過敏性腸症候群とか来ちゃったら、もうアウトだろっ!? フロア中臭うとか最悪だろが」

 俺は勃起で事なきを得たけどさ。

「……そうだな」

「あぁ、いや待てよ。でもそうなると、今後、美少女とパーティーとか組んでダンジョンに入ったとき、放尿シーンを覗き見る機会が失われるな。仲間の死亡でメンタルダメージ受けて、精神的に弱ってお腹壊して下痢になった美少女とか、最高に美しいだろ。そう考えると良くない、それは非常に良くないな。ちょっとまった、やっぱり便所は無しの方向で」

「貴様、私を舐めているのか?」

「な、舐めてねぇスよっ! ビビッて時間稼ぎしてるだけッスよ!」

「…………」

 ドラゴン氏よりはマシだが、それでも俺にとっては強敵だ。いや、天敵だ。

 まさか喧嘩して勝てるとは思えない。パッと見た感じ、モヤシだけれど、きっとファイアボールとか吠えて、火の玉を飛ばしてくるに違いない。火の玉はヤバイ。焼死は辛いって前にネットで見たもんな。

「……いいだろう。死にたいというならば、すぐに殺してくれる」

「ちょ、ちょっと待て、少しまて! いや、ずっと待てっ!」

「ダマレ、その減らず口、すぐに叩けなくしてやる」

「いいのかっ!? い、いいのかっ!? 俺にはすげぇダチがいるんだぜ!?」

「なんだそれは」

 一歩、また一歩と、こちらへ歩み寄ってくるローブ野郎。

 俺のこと殺す気満々じゃねぇーか。

「エンシェントドラゴンとかいって、超絶すげぇダチなんだぜ!? お、俺のピンチとしったら、きっと駆け付けてくれて、お前なんて、すげぇ炎で、けちょんけちょんにしてくれるんだからなっ!」

「エンシェントドラゴンだと? 馬鹿を言え、人間如きに彼の者共が動くものか」

「う、嘘じゃねぇぜっ!? 俺のダチのエンシェントドラゴンは、黄金色の鱗が超絶イカシタ、最高にカッチョイイ、絶対最強ドラゴンなんだぜっ!? 仕事が庭師っていうのも、お茶目でなんか良い感じなんだからなっ!?」

「うるさい。黙れ。そして死ね」

 ローブ野郎の腕が、こちらへ向かいかざされる。

 なんか、手の平の正面に魔方陣とか浮かび上がってるよ畜生が。

 夜の森でゲームオーバーとか寂しすぎるだろ。

 はったりが通じない。これは本格的にヤバイ。

 っていうか、死んだ。

 終わりだ。

 そう思っていた時期が私にもありました。

「お前、こんなところで何をやっているのだ?」

「え?」

 ふと、背後から声が掛かった。

 振り返ると、何やら歳幼い少女が一人、立っているではないか。

 俺好みの金髪ロリータだ。あぁ、ちなみに金髪ロリータとは言っても、ホームレスなヒロインとは別物だ。あれよりも少しだけ背が小さくて、歳も幼いように見える。あと、目つきが鋭い。そして、着ているものも小綺麗だ。

「お、おぉ、美しい……」

 死ぬ瞬間の光景が、このロリータなら、まあ、悪くないのかも知れない。

 嫌には変わりないが、訳の分からないローブ野郎よりは圧倒的にマシだ。

「相変わらず口が上手いな。ところで、そっちのヤツは知り合いか?」

「え? いや、こんなのが知り合いな訳ないでしょうに。っていうか、今まさに俺のことを殺そうとしている天敵に決まってるじゃない。見てよこの立派な魔方陣。絶対にHP10000くらい削ってくるって」

「なるほど、そうなのか」

 俺の言葉に少女は淡々と頷いて応じる。

 っていうか、何故か俺のことを知っているようだ。

 どうしてだろう。

 どうしてなのか。

 悩んでいると、疑問は正面のローブ野郎が出してくれた。

「な、まさか、本当にエンシェントドラゴンがっ……」

 何故だろう、金髪ロリータを目の当たりとして、酷く戦いているローブ野郎。

「リッチか。あの街の迷宮の主と言ったところか?」

「っ……」

 少女の言葉に、酷く怯えた調子で数歩を後ずさるローブ野郎。

 っていうか、エンシェントドラゴンってなんだよおい。

 もしかして、あれか、ドラゴンが幼女化しちゃったよ、ロリロリーって展開か。確かに良くあるよな。俺も大好きだ。むしろ、それを目当てに日々を生きていると言っても過言では無いだろ。

 そうなると、この金髪ロリータはドラゴン氏ということだ。

 本当か? さて、困ったときはステータスウィンドウに聞いてみよう。


名前:ドラコ
性別:メス
種族:エンシェント・ドラゴン
レベル:1687
ジョブ:庭師
HP: 689000000 / 689000000
MP: 1888000000/1888000000
STR:  3299000
VIT:  6000300
DEX:  4500030
AGI: 90000000
INT:130000000
LUC:        2

 マジだ。大当たり当たりだよ。

 相変わらずの不運っぷりは間違いねぇよ。

「えっと、め、目当てに人間には、会えたッスかね?」

「ああ、おかげで良いアドバイスを貰った。ついでに色々と種も貰った」

「そ、そりゃ良かったス」

 俺の問い掛けに、ドラゴン氏はホクホク顔で答えて見せた。

 くっそ、マジ可愛い。中身がドラゴン氏じゃなかったらお触りしてるわ。

「どうした? そんなにジッと眺めて」

「いやぁ、あ、相変わらずの美しいお姿に、見とれていたんスよ」

「なるほど、殊勝な心がけだ。褒美に私を眺める権利をやろう」

「あ、あざっすっ!」

 普通に嬉しいわ。嬉しすぎるわ。ずっと眺めてたいわ。

 だが、そんな俺とドラゴン氏のラブラブトークに口を挟むのが、件のローブ野郎だ。何やら戦いた様子でこちらを見つめては、震え声を上げる。

「く、な、何が目的だ……」

「俺は美少女」

「私は土だ」

「…………」

 素直に答える俺とドラゴン氏。

 なるほど、ドラゴン氏は土を取りに、わざわざ森までやってきた訳か。きっと、街で貰った素敵な助言とやらが、ここいらの土を指してのことだったのだろう。

 たしかに踏みしめた感じ、良く肥えた腐葉土が続いている。これなら植物も良く育つに違いない。ドラゴン氏の愛を裏切って枯れたグルメな花も、この土なら満足するさ。

「……わ、分かった。用意する。しばし待っていろ」

 え? マジで? マジで美少女、用意してくれんの?

 俺とドラゴン氏に短く告げて、ローブ野郎は姿を消した。

 こう、闇にかき消えるように、ふっと消えた。

「しかし、お前にリッチの知り合いがいるとはな」

「あ、いや、別に知り合いって訳じゃないんスけど……」

「土まで用意してくれるとは、なかなか良いやつじゃないか」

「そ、そっスね」

 詳しいところは黙っておこう。後が怖い。

 ドラゴン氏と共に大人しくローブ野郎を待つ。

 すると、ヤツは数分と経たずに戻ってきた。なにやら、ハァハァと息を荒くしている。恐らくは相当に急いだ結果だろう。そして、右手には美少女を、左手には革袋を手にしていた。

 マジで美少女持ってきやがった。

 ただ、美少女は酷くグッタリしており、っていうか、死んでる臭い。

「土はこれで良いだろう。この辺りで取れる土でも、一等に栄養が高い」

「ほぉ、それは素晴らしいな」

「受け取って貰えますかな?」

「そりゃもう、貰えるというならば、貰っておこう。仮に貰えないとあっても、力尽くで手に入れていたところだ」

「さ、さようで」

「うむ、貴様、名を何と言う?」

「り、リチャードでございます」

「そうか。覚えていよう。リチャード。感謝するぞ」

「ありがたき幸せです……」

 ドラゴン氏、スゲェ偉そうだな。

 あと、ローブ野郎、俺の時とは態度が全然ちげぇよ。

 ドラゴン氏に革袋を渡した後、へりくだりマンは俺に向き直る。そして、手にした美少女を差し出した。ゴスロリ衣装に身を包んだ、かなり可愛らしいロリ系美少女だ。

 髪はロングストレートの金髪。肌は白。目は閉じてるから分からない。まあ、スーパー可愛いのだから問題ない。ただ、グッタリしているのは問題だ。

「あと、これが美少女だ。受け取れ」

「いや、死んでるだろこれ」

「人形だ。そんなことも分からないのか?」

「……え? マジで?」

「貴様が魂を吹き込めば、コイツはお前を守るマリオネットとなる」

「お、おぉ、マリオネット……」

 なんて心の躍る単語だろう。

 俺はセイバーマリオネットが大好きだ。

「お前ってば良いやつだなっ! マジ、ありがとうなっ!」

「ふんっ……」

 ローブ野郎から、マリオネットを受けとる。

 大きさはローゼンメイデンより一回り大きいくらいか。頑張ればセックスできないこともないだろう。まあ、マンコが付いてるかどうかは分からないが。

「用が済んだならば、私はこれにて失礼する」

 そして、渡すものだけ渡して、ローブ野郎は姿を消した。

 ドラゴン氏が怖くて逃げたな。ざまぁみろ。あと、マリオネットありがとう。

「ふむ、ならば私も帰るとするか」

「あ、お帰りッスか?」

「この土を使ってみたいのでな」

「確かにそっスよね。良い花が咲くといいッスねっ」

「うむ。花が咲いたら、貴様にも見せてやるとしよう」

「マジっすか!? あざっすっ!」

 花が見れる、イコール、ドラゴン氏を見れるということだ。

 割と素直に嬉しいじゃんか。金髪ロリータ最高。

「ではな」

「うっすっ!」

 ローブ野郎に続き、ドラゴン氏もまた、ルーラでどっかに消えていった。便利だよな、ルーラ。俺もいつか使えるようになりたいもんだ。

 そして、後に残ったのは、俺とマリオネットたん。

「さて、目的も達成したし、頑張って帰るか……」

 よく分からないけど、美少女が手に入ったので良しとしよう。

			◇		◆		◇

 結局、街に戻れたのは夜明け間際だった。

「やっと帰ってこれたし……」

 精神的な疲弊は大したものだ。しかし、不思議と身体は疲れていない。恐らくは、小動物を踏みつぶしてレベルアップ、いや、ニートアップした為だろう。

 小柄な子供ほどの人形を抱いて、夜通し数時間を歩き通したにしては、恐ろしいまでの無疲労感。まだまだ歩けるぜって感じ。

 それとなくステータスを確認してみる。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート64
HP:5891/5900
MP:0
STR:2400
VIT:3200
DEX:4920
AGI: 900
INT: 310
LUC: 540

 相変わらず謎のダメージ受けてるよな。まあ、だいたい把握だ。良い感じだろ。

 ところで、ローブ野郎に貰ったマリオネットたん。

 この子はどれくらいのステータスなんだろうか。

 個人的にはひ弱なロリータが好みなんだな。イヤイヤしてるところを、性的にいじくり回して調教とか、最高に萌えるんだけど。そんでもって、調教後は自分から、オチンポ大好き、オマンコしてぇ、とか言っちゃう系。あぁ、最高。


名前:(未設定)
性別:女
種族:マリオネット
レベル:505
ジョブ:魔法使い
HP:85900/85900
MP:400000/4000000
STR: 72400
VIT:103200
DEX: 63920
AGI: 70900
INT: 90210
LUC:  3040

 やべぇ、超つえぇ。どうすんだよこれ。

 どっちかっていうと、俺の方が足コキ調教されて、らめぇ、オチンポいじっちゃらめぇなのぉ、とか言う感じのステータスじゃんか。こんなもん、どうやってセックスまで持ち込めばいいんだよ。あのクソローブ野郎。ハメやがったな。

「くっそ、ふざけんじゃねぇよ……」

 両手に抱いたマリオネットを眺めて途方に暮れる。

 下手に起動すると俺が死にかねないぞ。

 っていうか、そもそも起動の方法が分からねぇよ。

 マリオネットを抱いたまま、街へと入場。そのまま行き場も無く、どうしたものかと歩き続ける。日の出から間も無い大通りは、日中に比べれば静かだ。

 思い返してみれば、美少女はゲットしたけれど、今晩の宿とご飯をゲットしていなかった。このままでは二日連続で野宿になってしまう。

「とりあえず、一息付ける場所が欲しいよな。マジで」

 マリオネットを抱えたまま、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。

 ただ、良い場所は見当たらない。なんでネカフェとかないんだよ。

「くっそ……」

 とりあえず腰を落ち着けたい。そう思うと、自然に足は人気が少ない側へ向かって行くもんだ。

 人がいない場所、人がいない場所。

 探すように彷徨うと、なにやらチープで獣臭い場所へと迷い込んだ。この手の話にはありがちな、貧民街ってやつだろう。

 あれだ、ほら、クロノトリガーの未来のドームにいたような奴等がウヨウヨだ。

 ガチでキタねぇな。そこらじゅうでぐだってやがる。あーあー嫌だね、こういう光景は。俺はクリーンな自室で一日三食付いたニートがしたいんだよ。

 ババァ、飯っ!

 こういう現実的な光景を見せられると、スゲェ萎えるわ。親が死んだらどうするのとか、聞きたくねぇよ。俺の許可なく死ぬんじゃねぇよ。

 あ、今の台詞って、捉え方を変えるとちょっとカッコイイな。

「……ちょっと休むか」

 とは言え、一晩歩きまくったのだ、少しくらいは休むとしよう。

 通路脇の段差へと腰を落ち着かせる。

 両手にはローブ野郎から貰ったマリオネットを抱いたままだ。

「動かない美少女はただのゴミだな……」

 邪魔なんだよ。マジで。

 魂を吹き込むとか言ってたけど、吹き込み用の魂がねぇよ。どっから調達すればいいんだよ。ボディーソープの詰め替え用みたいに気軽に言いやがって。あの野郎。

 ジッとマリオネットを眺める。

「…………」

 美少女には間違いない。スーパー可愛いわ。このまま犯したい。

 っていうか、むしろ今のうちに犯すべきじゃないか? 起動したら、俺の方が虐められそうだし、起動する前に存分に楽しんでおくべきだろ。

 よし、そうと決まれば早いほうが良い。

「まずはキスな、キス」

 実は俺ってば一度も、女の子とキスしたことないんだよな。一度でいいから、可愛い美少女とキスしてみたかったんだよ。うは、ベロチューしてぇよ、べろちゅー。

「んぅーーーー」

 タコみたいに唇を尖らせて、ぶっちゅーといく。

 やべ、唇とかミラクルやわらけぇ。これちょっと、幸せ過ぎるだろ。キスってこんなに良いもんなのかよ。人形相手に昇天しそうだぞこら。

 次は舌をねじ込んでやろう。などと思っていたら、マリオネットの目が開いた。

「んぶっ……」

 驚きから口を離してしまう。

 綺麗な青色の眼球だった。

 金髪碧眼とか、パーフェクトだけどさ。

「……所有者を認識しました。霊子構造を認識します……完了です」

「き、起動しちまったよっ……」

 俺の腿の上、美少女マリオネットが上半身を起こす。

 そんでもって、両足を跨ぐように対面座位で腰掛ける。GTOの教頭先生が、セクキャバで女子高生相手によくやってる姿勢だ。

「醜い所有者ですね。なんて気持ち悪い顔でしょう」

「ほらみろ、やっぱり毒舌系のサディスティックロリータじゃんか」

「何の話ですか?」

「こっちの話だよ。お前には関係ない」

「では、いちいち口に出さないで下さい。耳障りです」

 おい、初期不良だ。販売から一ヶ月以内だし交換してくれよ。

 くそったれが。あのローブ野郎め。俺に従順な美少女、とか、ちゃんと条件を付けときゃ良かった。これだから契約社会はムカつくぜ。相手の意思を拡大解釈しやがって。

 人の世は善意と気遣いで成り立つべきだろ。まったく、なっちゃいねぇ。一を指示されて十をこなすのが、使えるリーマンってやつだ。

 俺が管理職なら、あんなローブ速攻でリストラだぜ。

「私の名前を決定してください」

「ああ、そういや名前欄が空だったよな」

「しょっぱい名前を付与したら殴ります」

「贅沢な人形だな……」

 パッと見た感じ、水銀灯と雪華綺晶を足しで二で割って、胸を削ぎ落としたような感じだ。髪の色は金髪だけどな。ゴスロリ衣装がよく似合うぜ。外見はナイスロリータだ。

 このクールなジト目は嫌いじゃ無い。毒ばっか吐くお口は嫌いだけどな。

「早くして下さい。行動がトロい男は嫌いですよ」

「じゃあロリマンコで」

 子供にキラキラネーム付けたがるDQN親の心境が、今なら如実に分かるぜ。望まれて生まれなかった子って、こういうもんなんだろうな。

「……登録完了しました。以後、変更はできませんよ。この童貞チンポ野郎」

「マジか……」

 本気で登録しやがったコイツ。実はマゾなんじゃないか?

「顔が駄目なヤツはネーミングセンスもクソですね。心底幻滅です。どうするんですか、私の名前、永遠にロリマンコですよ? いいんですか?」

「良くねぇよ。っていうか、なんで登録しちゃったんだよ」

「登録しますと事前に説明しましたよ」

「冗談も分からないとか、マジで使えない人形だな」

「一応、このロリマンコにも、ロリマンコは付属しているのですが……」

「マジで?」

「ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さいと、涙を流して懇願すれば、今晩あたり使わせてあげましょう。ローションなどを使わずとも、愛撫で自動的に愛液まで染み出すナチュラルな仕様です」

「ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さい! ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さい! ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さい! ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さい! ロリマンコ様、ロリマンコさせて下さい!」

 涙は勝手に出た。

 俺の身体はロリファックに最適化されている。

「人形にマンコが付いてる分けないでしょう。貴方は馬鹿ですか?」

「こ、このクソ人形……」

 制作者のひねくれた性根がありありと見て取れるぜ。

 マジで死ねよローブ野郎。

「いい加減に私を下ろして下さい。勃起した童貞チンポが股間に当たって不快です」

「当ててんだよ」

「余計に性質が悪いです」

「いでっ……」

 頬をグーで殴られた。歯が一本吹っ飛んだ。

 ついでに腿の上から逃げられた。

 くっそ。良い感触だったのに。マンコが付いてないって本当かよ? 後で絶対に確かめてやるわ。実は嘘をついているとか、良くあるパターンじゃねぇか。俺は騙されないぜ。このロリマンコめ。

「テメェ、後で覚えてろよ……」

「ところで、童貞チンポ」

「ど、童貞じゃねぇよっ!」

「ならば、素人童貞チンポ」

「ぐっ……」

「図星ですね。この素人童貞チンポ野郎」

 マジでムカツクわ。この人形。電源スイッチどこだよ。永遠にオフって、ダッチワイフにしてやりたいわ。っていうか、性格設定くらいユーザにやらせろよ。

「私はなにをすれば良いのですか?」

「何って、そりゃお前、えっと、なんだ? ほら……」

 特にやらせることなんて、決めてねぇよ。しかもなんでそんなに偉そうなんだよ。俺が持ち主だろ? 俺が主人だろう? そういう時は、何なりとお申し付け下さい、ご主人様。ニコリ、っていうのが普通だろが。

 ったく、これだからゆとりは使えねぇ。いつも仕事の方からやって来ると思うなよ。使えるバイトってやつは、自分から率先して仕事を探して、業務の改善とか効率化とかを図るもんなんだよ。

「んじゃまあ、とりあえず今晩の宿屋と飯を確保して貰おうか」

「素人童貞の上にヒモ希望とか、最悪の持ち主に捕まってしまいました」

「うっせぇよ。早くなんとかしろよ!」

「分かりました。では行動に移りましょうか」

「え? マジでやってくれんの?」

 一歩を歩み出すロリマンコ。疑問の一言さえ口にしない。それが当然だと言わんばかりの振る舞いだった。

 逆に驚いているこっちを振り返って、お前は何を言っているんだ? とばかりに言葉を続けてくる。まさか、了承されるとは思わなかった。

「貴方がそう命令したのでしょう。それとも、これも冗談ですか?」

「あ、いやいや、冗談なんて言わねぇよ。俺は冗談が大嫌いだからな」

「了解しました。ロリマンコは行動を開始します」

「んだよ、根に持つタイプだな」

「もう一度、殴られたいのですか?」

 ロリマンコがこちらへ向き直り、腕を振り上げる。

 コイツ、普通に顔とか殴ってくるから嫌いだわ。

「いやいや、行こうぜ。どこへなりとも」

 ということで、ロリマンコと共に宿探しの旅に出発だ。