金髪ロリ異世界転生俺TUEEE

第二話

 さて、俺とロリマンコの宿探し飯探し大冒険も、そろそろ佳境だ。

 何故かと言えば、ロリマンコが無駄に優秀だったからだ。金を稼ぐにはどうすればいいのか、訪ねたところ、問答無用でダンジョンへと拉致られた。俺は行きたくないと言うに、無理矢理、腕を掴んで引っ張って行かれた。マジ怪力だわコイツ。

 そして、ズンドコと階段を下りまくり。

 おいこら止めろと叫んでも、俺の言うことなんか聞きやしねぇ。

 あっという間に地下五十五階まで到達だ。この間、僅か二、三時間の出来事だ。途中で出て来たモンスターは、全部、ロリマンコがやっつけた。メラゾーマとかイオナズンとかバギクロスとか、そういう感じの魔法でやっつけた。俺は見てるだけ。

 このロリマンコ、マジやべぇよ。

「この辺りにゴールデンスライムが出現します」

「なんだその成金属性なスライムは」

「狩って持ち帰れば、当面の生活費に苦労することはありません」

「マジか。スゲェじゃんゴールデンスライム!」

 なるほどな。やっと見えたぜ。

 俺TUEEEは俺TUEEEでも、内政系の俺TUEEEだったんだよ、俺の場合は。ゴールデンスライムでゲットした金銭を元に貴族とか、そういう感じのを目指して、ゆくゆくは立国しちゃう系なんだよ。

 たしかにそっちの方がハーレムも作りやすいし、良い感じじゃんか。金で囲った女をはべらせるとかマジで最高だわ。金にしか目がない卑しい女の頬を、札束でビタンビタン叩きながらのセックスとか、絶対に一度はしてみてぇよ。

 世の中、女は金だよ、金。

「んじゃ、ちゃっちゃと狩って帰ろうぜ。ここは陰険で嫌なんだよ」

「分かりました。捜索を始めましょう」

 ロリマンコを先頭に歩く。

 ダンジョンを歩く。

 前に経験した二十五階と比べて、風景は更にヤバ度が高い。なんか溶岩っぽいのが流れてたり、モンスターの死骸が転がってたり、ギーチョギーチョ、妙な鳴き声が聞こえてきたり、普通にお化け屋敷だわ。

「おい、本当に大丈夫なんだろうな?」

「大丈夫です。チキンな素人童貞野郎は、私の後ろに隠れてビクビクしていて下さい」

「背中にビクビク射精するぞこの野郎」

「置いて帰っても良いですか?」

「いや、マジごめんなさい」

 途中、五十階くらいのモンスターのステータスを確認したんだよ。そしたら、どいつもこいつも、前に遭遇した牛野郎と同じくらい強いでやんの。俺一人だったら三秒で死ぬわ、三秒で。

「見つけました」

「マジか」

「静かにしていて下さい。逃げ足が速いのです」

「お、おうよ」

 ロリマンコが見つめる先、通路の曲がり角に金色の光沢を発見だ。

 確かにゴールデンだ。一階で若者に虐められていたスライムをそのままゴールデンにした感じだ。金属っぽい色の癖して、ヌメヌメと動いてやがる。マジキメェ。

 水銀にゼラチン混ぜて固めたらこんな感じになるだろうか。

「核を両断します」

 えいやっとロリマンコが腕を振るう。

 バギっぽいのが飛んで、成金スライムを両断した。

 一緒に人間っぽいのも両断した。

「あ……」

 思わず声が出ちまったよ。

 ちょうど上手い具合に、魔法が飛んだ先、曲がり角から姿を現したのが人だ。その首が成金スライムと一緒にスパッとちょん切られてやんの。ぶっしゃーと吹き出した血で、せっかくのゴールデンも真っ赤だ。

「おいちょっと、お前ってばなにやってんだよ」

「急に人が飛び出してきたようですね。運の無いことです」

 ゴロゴロと転がる生首は、兜をかぶった二十代イケメン。

 ざまぁ、貴重なイケメンチンポを刈り取ってやったぜ。

 恐らくは、切られたヤツも俺たちと同様に、成金を狙ってたんだろう。ドシャリ、倒れた身体は両手に剣を振りかぶっていた。あと少し遅かったら死なずに済んだものを、不運なヤツだぜ。

 けどまあ、これを平然と答えてくれるロリマンコは、やっぱりサドだな。

「何者だっ!?」「敵かっ!?」「今のはなんだっ!? 魔法かっ!?」「下がれっ、その角の向こう側にいるぞっ!」「ひけっ! ひけっ!」「対魔法障壁を張れっ! 三重、いや四重だっ!」

 男が倒れて途端、曲がり角の向こう側が騒がしくなる。

 どうやらパーティー組んでダンジョン攻略とかしちゃってるらしい。

 なんだよクソが、リア充軍団かよ。

「ったく、お前ってば面倒なことしてくれるよなぁ……」

「急に飛び出してきた人間が悪いのです。私は悪くありません」

 プイとそっぽを向いてしまうロリマンコ。

 まるで悪びれた様子がない。肝っ玉のデカイ女だぜ。

「どーすんだよ? 俺ら殺人犯じゃんかよ」

「全員殺します。ダンジョンの中でならば問題ありません」

「マジかー」

 いやまあ、それが一番良いんだよな。俺もそんな気がするわ。

 船の上では船長が法律なんだぜ? グヘヘヘ、っていうのと同じノリだわな。一度で良いから小学生をダース単位で掻っ攫って、世界一周船の旅とかやってみたいわ。

 絶対に世の金持ちはやってるよな。小学生に生中出し、絶対してるだろ。俺が同じ地位とか権力とか金とか手に入れたら、即日でやる自信があるぜ。

「では行ってきます」

「俺は何も見てないし聞いてない。勝手に人形が暴れてるだけ。俺は何にも関係ない」

「ロリマンコに丸投げとは、人間のクズですね」

「そもそもの原因はお前だろが。行くならさっさと行ってこいよな」

 俺の見つめる先、角から首チョンパの仲間が姿を現す。

 厳つい鎧姿のイケメンやイケウーメンの団体だ。

 豪華な装備からは、俺ら私らレベル高いですよオーラがビンビンだ。

 なんつーか青学っぽくてムカツク。

「ロリマンコ、ちょっと待ったっ!」

 咄嗟、走りださんとしたゴスロリの襟首を引っ掴む。

「グェッ」

 良い感じの悲鳴が聞こえた。

 やっぱりロリはこうじゃなきゃな。

「ちょっと待てよ。やっぱ止め、やっぱ止めなっ」

「いきなり襟を掴まないで下さい。苦しいじゃないですか」

 また、ロリマンコに頬を殴られた。また、歯が一本抜けた。

 ちょっと俺のステータス大丈夫かよ。


名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:1
ジョブ:ニート64
HP:1891/5900
MP:0
STR:2400
VIT:3200
DEX:4920
AGI: 900
INT: 310
LUC: 540

 うわ、結構減ってるじゃんか。マジヤベェよロリマンコのパンチ。

 いやいや、今はそれどころじゃなくてだな。

「あの人は殺しちゃ駄目だ。俺の命の恩人だからな」

「あの人とは?」

 ロリマンコの視線が俺から離れて、通路の先、角の側へ向かう。

 何故にロリマンコを止めたかと言えば、リア充軍団の中に見知った顔を見つけたからである。昨日、ミノルに殺されかけていた俺を救ってくれたGカップだ。

「むっ、お前は昨日のっ……」

 相手も俺の姿に気付いたらしい。緊張した面持ちにこちらを見つめていた。

「いやいや、姉さんお久しぶりッスね」

 俺は笑顔で手を振る。人間、笑顔が大切だ。笑顔で乗り切れ。

 どんだけキモくても、笑顔は笑顔だ。

「これはどういうことだ?」

 対して、Gカップの表情は険しい。今すぐにでも斬りかかってきそうだ。彼女の後ろでは、他に仲間だろうイケメン、イケウーメンが、杖やら槍やら剣やらを構えて臨戦態勢。なんつーか、俺が悪者決定的なシーンだろ。

「あーいや、それがほら、あれッスよ。そこにキラキラ光ってるモンスター、いるじゃないッスか。それをうちの子が魔法でズバッとやろうとしたところ、ちょうど、そっちのお仲間が顔を覗かせたみたいでして……」

「……なるほど」

 俺の説明を受けて、今度は渋い顔となるGカップ。

「では質問を変えよう。何故にお前はこの場にいる? もう二度とダンジョンへ潜らないのではなかったのか? そして、お前の隣にいる女は何者だ?」

「ああ、いや、それはちょっと色々とあったんスよ。コイツは俺の妹で、ナターシャっつーんですよ。どうです? 俺に似ずに可愛いもんでしょう?」

「あぁ、確かに可愛らしいな。だが、妹が何故にダンジョンにいる?」

「それはなんというか、いわゆるダンジョンキチガイってヤツで、時間があればダンジョンでラリってるような性格で……、ほら、お前も自己紹介しろよ」

 ロリマンコの背中を軽く押して、一歩を前に踏み出させる。

「どうも、妹のロリマンコです。ロリマンコと呼んで下さい」

「は? ロリマンコ?」

 ロリマンコの自己紹介を受けて、ポカンとした表情になるGカップ。

「あぁあああ、もう、お前なにいきなり本名いってんだよ。お前の名前はナターシャ! ちょっとは空気読めよ! ロリマンコってなんだよ? 全力で性器じゃんかよ!」

「まさか、主人から付けられた名前を取り違えるなど、マリオネットたるロリマンコには決して許されません。私は死ぬまで永遠に自らをロリマンコと名乗り続けます」

「ロリマンコロリマンコって、連呼すんじゃねぇよ! 恥ずかしいだろ!?」

 しれっと言ってのけるロリマンコ。絶対に嫌がらせだ。

「ところで素人童貞チンポ。良いのですか?」

「はぁ? 何がだよ」

「あちらの術士が詠唱を始めてますよ」

「え?」

 ロリマンコが指摘する先、何やらローブ姿の女性が、鬼のような形相で、こちらを見つめている。詳しくは聞き取れないけど、呪文っぽいもの呟いてる。エロイムエロイムエッサイムって感じだ。

 かと思えば、次の瞬間には飛び出す火の玉。頭上に掲げられた杖の先、魔方陣みたいなのが浮かび上がった。そこから発して、メラゾーマみたいなのが、俺とロリマンコを目掛けて飛んでくる。

「よくもよくもよくもっ! よくも私のエドワァアァァドをぉおおおおっ!」

 あぁ、さっき死んじまったイケメンの彼女か。

 彼氏が首チョンパでヒステリックなんだろう。

 事故だっつーに。これだからヒス女は嫌いなんだよ。鬱陶しい。

「障壁を展開します」

「うぉおおぉっ!?」

 ロリマンコの障壁宣言。

 目に見えないバリアーっぽいやつが、メラゾーマを防いだ。

 ナイスだ。良くやった。

「ナイスだステファニー!」

「さっきと名前が変わってますよ」

「え? あぁ、えぇっと、なんだったっけ? 今ので忘れちまったよ」

「ロリマンコです」

「もうそれでいいわ。逃げるぞ、ロリマンコっ!」

「嫌です。殺します」

「やめとけっつーの! あのGカップは命の恩人なんだよ!」

「なんと愚かな。そういった中途半端な思考がバッドエンドに繋がるのです。その顔と歳では、人並みの幸せなど、絶対に手に入れられないのですから、下らない良心などさっさと捨てて、早急に鬼畜道へ走るべきです」

「うるせーよ! 黙ってろ!」

 ロリマンコを脇に抱えて走り出す俺。

 当然、リア充軍団は追い掛けてくる。

 ほんの小さなすれ違いが、確執を生み、大きな争いへと発展する。人の世ってもんは、いつだって儚いもんだ。同じような過ちを繰り返しては、どこからしらで必ず、無意味な血が流れている。

 むなしいねぇ。

		◇		◆		◇

「あー、ちくしょう、マジで疲れた」

 無事に逃げ切った。リア充軍団から。

 ちなみに所在は未だダンジョンのなかだ。

「殺してしまえば良かったものを。極めてチキンな童貞チンポ野郎ですね」

「黙れよロリマンコ。俺は俺に厳しいヤツには容赦しないが、俺に優しくしてくれた奴には、最低限の恩義を返すって決めてるんだよ。どうだ、カッコイイだろ?」

 それが俺のジャスティス。

 まあ、一度は親切にしてくれても、次に厳しくされたら速攻で裏切るけどな。

「そんなルールしりません」

「この美学が分からないとは、まだまだガキだな」

「そういう自分に酔っているだけですね。なんと浅ましい性格でしょう」

「は? 当然だろ?」

 それ以外にどんな理由があるってんだ。

「下らないです。憂いを払拭する為にも、今後は皆殺しを推奨します」

「んなもん、そのときの状況に寄りけりだ。俺は現場主義なんだよ」

 しかし、俺もクズだが、コイツはもっとクズだな。どうしょうもないな。まあ、とは言え、そんなどうしょうもないヤツのおかげで逃げきれたのも、また事実だ。

 ロリマンコは、脇に抱えられた姿勢のまま、後ろへ向かって魔法をパスンパスンと連打していた。おかげでリア充軍団は早々のこと追跡を諦めてくれた。

 でなければ、俺が逃げ切れる訳がない。もしかしたら、その過程で一人くらいは死んでいるかもしれないな。まあ良い、正当防衛だ。

「くっそ、また成金スライム探すところからやり直しかよ」

「全ては貴方の責任です。反省して下さい」

「お前の責任だよ! お前がイケメンのを首ちょん切るからだよ! おかげでヒス女にマジギレされたじゃねぇか!」

「人間風情が何人死のうがしったことではありません。それにあんなダサい顔の男など、そこいらに吐いて捨てるほどいます」

「それは暗に俺の顔面を強く否定してくれちゃってるのか? あぁ?」

「一人で地上まで帰りますか?」

「……お前ってばミラクル素敵な性格してるよな」

 伊達に陰険ローブ野郎から貰ってねぇわ。

「惚れましたか?」

「いつかブチ犯す」

「今すぐこの場に犯せないチキンになど、永遠に無理ですよ。そのチンポは未来永劫、素人を知らないまま終わるのですね。大した玄人志向です」

「あんな自称玄人しか手を出さないような地雷メーカーと一緒にしてくれるな。俺のチンポはいつだってサービス満点だってーの」

「メーカー? なんの話ですか?」

「はっ、これだから知恵遅れは困るぜ」

「それよりも、早く下ろして下さい。いつまで抱いているつもりですか。あと、偶然を装って胸を揉むのは止めて下さい。不快です。エグいです」

「くっそっ……」

 片腕に抱いたロリマンコを地上へ降ろす。マリオネットの癖して妙にやわこいから、もう少し抱いていたかったのに。おっぱいとかマジで最高だった。こうなったら今晩あたり、眠ったところで抱き枕にしてやる。

「美少女の視姦を止めて、さっさとゴールデンスライムを探しに行きますよ」

「今晩、お前を犯す! 中出しレイプする! 絶対だ!」

「犯れるものなら、どうぞ、やってみて下さい」

 ロリマンコの分際で仕切るんじゃねぇよ。

 ったく、ゴール間際でセーブポイントからやり直しな気分だぜ。

 それから数時間ばかり、俺とロリマンコはダンジョンのなかを延々と歩き続けた。どうやら成金スライムはレアモンスターらしい。探すのにスゲェ苦労した。

 無事に狩れたけど、もう二度とやりたくねぇよ。

		▲		▽		▲

「やっと換金できたわ。おいこら見てみろよ、もう夜じゃねぇか」

「素人童貞野郎がグズだからですよ」

「テメェのサーチ能力がウンコだからだろ」

 俺の両手には、金貨が大きな革袋に一杯だ。何故かと言えば、成金スライムの死骸を冒険者ギルドで換金してきたのだ。

 レアモンスターなだけあって、かなり良い値で売れた。なんでもヤツのボディーは、溶かしてアクセサリーの類いに利用されるのだそうな。

 詳しくは知らん。

「それよりも、さっさと宿を探して下さい。この素人童貞チンポ野郎」

「言われなくたって探してるわ! このプリプリロリマンコが」

 日が落ちても一向に勢いの衰えない毒舌女を侍らせて、冒険者ギルドを後にする。何はともあれ、昨日もお世話になった宿屋へ向かうぜ。

 必ず童貞の前に素人って単語を並べてくるあたりに確信を感じる。

 まあいい、今は勘弁しておいてやる。

 流石に一晩歩き通した後なので疲れた。いや、昨日も夜通し森の中を歩き回ってたし二徹か。おかげで恐ろしくテンションがハイになってる。人前でオマンコ叫んでも全く恥ずかしくないぜ。

 オマンコオマンコ!

		▲		▽		▲

 向かったぜ。

 宿泊拒否されたぜ。

 しかも、かれこれ十件くらい連続で拒否られてるぜ。

「なんでだよっ!?」

「部屋が一杯なのですよ。またのおこしをお待ちしております」

「くっそっ、使えねぇ宿屋だぜっ!」

 過去に満室で宿泊を断られたロトの子孫がいるか? 居ねぇだろ。これだからリアルは嫌なんだよ。便所とシーツの綺麗さで宿を選ぶとか、ファンタジーが足りねぇよ。

 カランコロン、ドアベルを鳴らして店の外へ。

「ちくしょう、どうなってんだ。近所で祭でもやってるってのかよ」

「早くして下さい。ロリマンコは疲れました」

「俺も十分に疲れてるわ」

 夜の大通りを歩く。歩く。歩く。

 それから更に数件、宿屋を訪ねてみた。けれど、どこも満室だってよこの野郎。一昨日は予約無しで速攻入れたのに、どうなってやがるんだ。

 段々と愚痴る根性もなくなる。砂漠に水を求める遭難者のように、延々と宿屋を求めて歩きまくった。

 すると、ふと通りの先に見知った顔を発見だ。

「あ、Gカップ……」

「む、お前は……」

 Gカップがあらわれた。

 人通りも多い、大通りでの偶然な再会ってやつだ。

「……その様子では、苦労しているようだな」

 俺の顔を眺めて、何やら意味深なことを言ってくれるGカップ。

「お前、なんか知ってるのかよ? 主に俺が宿無しな件について」

「ああ、知っている」

 なんだとこの野郎。

「おい、ちょっと説明しろよ!? なんでどこも一杯なんだよ!」

 何がとは言わない。

「お前が喧嘩を売った相手、というより、お前の妹が殺した男と付き合っていた女は、この国の大貴族の娘だ。つい先程、町中の宿にお前の宿泊を拒否するよう通達がでた」

「マジかよっ!?」

「まあ、父親は男のことを良く思っていなかったらしい。殺されるまではいかないだろう。せいぜい、この町に居場所が無くなるくらいだ」

「あっんのアマ、ふざけたことしてくれるじゃねぇかよ、くっそ……」

 そんな舞台裏があるとは知らなかったわ。

 これだから金持ちは嫌いなんだよ。

「だから言ったのです。皆殺しにすべきですと」

「黙れよ、殺してたらもっとヤバイことになってたじゃんかよ」

「ばれなければ良いのです。場所はダンジョンです」

「俺のピーキーで繊細な心は、有名人が殺されてざわめき立つ街の変化を受けて尚、心中穏やか過ごせるほど図太く出来てないんだよ! いつ警察が来るかとか考えたら、夜も寝るれぬ日々が続くじゃねぇかっ!」

「ついに本心が漏れましたね。このチキン童貞」

「人をマックの新メニューみたいに言うんじゃねぇよ!」

「マック? 誰ですか?」

「人じゃねぇよ!」

 くっそ、やっぱりコイツが原因だ。このクソマリオネット。

「事情は知れぬが、夜を歩むときは背後に気をつけることだ。私も事情こそ理解しても、お前を快くは思っていないのでな」

「はっ、ご忠告ありがとうよっ!」

 言いたいことだけ言って、俺の脇を抜けるよう、Gカップは去って行った。

 その姿は人混みに紛れて、すぐに見えなくなる。

「あーもー、今日もまた野宿かよ」

 もやしボディーには堪えるぜ。

「いいえ、それは認めません。ロリマンコは野宿を認めません」

「だったらなんとかしろよ!」

「当然です。与えられた仕事は、例え与えた側がクソ野郎でも、自ら納得して引き受けた以上、最後まで果たすべきなのです」

「な、なんだよっ、なに俺にプレッシャー与えてんだよっ」

「これが私の美学です。どうです。可憐な乙女のポリシーは」

 なんだコイツ、普通にカッチョイイ。かなりグッとくる。

「い、言うだけなら誰でもできるんだよっ! それならちゃんと示して見せろよっ、せ、せ、せせせ、成果ってやつをよっ!」

「当然です」

 クソ、何をやっても途中で投げ出すクズヒキニートの俺とは、非常に相性の悪いポリシーだぜ。隣にいるだけで劣等感に襲われるわ。

「付いてきて下さい」

「おい、どこ行くんだよ」

「いいから付いてきて下さい。このチキン童貞」

「うぉっ!?」

 腕を掴んで引っ張られる。

 伊達に俺とはステータスが桁違いでない。

 そのまま引っ張られてどこまでも、だ。

		▲		▽		▲

「宿がないのなら、作れば良いのです」

「それができたら、今頃この街は宿屋だらけだ阿呆が」

 連れてこられた先は、ダンジョンだ。またダンジョンだよ、おい。なんでコイツはこんなにもダンジョンが好きなのか。きっと親に似たのだろう。いつか、ジョブがダンジョンマスターになる日も近く思える。

「それは力なき者の戯れ言です。力なき素人童貞は黙っていて下さい」

「人を勃起障害みたいに言うんじゃねぇよ!」

「インポなのですか? 最悪ですね」

「ちげぇよ」

 地下六十階。適当に空いている小部屋を見つけて、そこを勝手に陣取ったロリマンコである。部屋で居眠りこいていたモンスター数体は、コイツのイオナズン的な魔法により早々に排除された。

「さて、では荷物を運び込みます」

「どうやってだよ? まさか、えっちらおっちら往復するのか? ありえねぇよ」

「そんなもの輸送魔法で一発です」

「なんだよそれ」

「大人しく黙っていて下さい」

「…………」

 大人しく黙って見ていてやろうじゃんか。

 俺が黙ると、ロリマンコの足下に浮かび上がる魔方陣。

「では、行ってきます」

 どこかで見たことあるなと思った。

 次の瞬間、ロリマンコの姿が消えた。

「え? お、おいっ! ちょっと待てよっ! どこいったよっ!?」

 いきなりどっか行きやがった。行くってどこへだよ。ちゃんと行き先くらい伝えてから出発しろよ。

 浅層階と比較して、なんかフロア全体がレベル高いんだよこの辺は。なんつーか、不思議なダンジョンの一階と二十五階の違いみたいな感じでさ。部屋っぽさが無くなって、洞窟っぽさアップっていうか。

「くっそ、どうすんだよ……」

 慌てるわ。マジ慌てるわ。

 もしも小部屋の外からモンスターとか入ってきたらゲームオーバーだよ。

 危惧していると、ほら見ろ、来たぞなんか。

「ドラゴォオオオオオオオオオオン」

「マジかよ……」

 ドラゴンだ。ドラゴンが来やがった。

 それもトルネコの不思議のダンジョンに出現するような四つ足タイプだ。コイツは間違いなく炎を口から飛ばしてくる。

 バハムートタイプだったドラゴン氏と比べると、だいぶ弱そうだけど、それでも俺にとっては天敵に違いあるまいて。

 やくい、やくいぜ。

 頭から尻尾の先まで、だいたい五メートルくらいだろうか。

「テメェ来んじゃねぇよっ! ふざけんなっ!? あぁ? 舐めてんのかぁ? あぁっ!?」

 賢い俺は即座にステータスを確認だ。


名前:ドラキチ
性別:男
種族:スモールドラゴン
レベル:98
ジョブ:フリーター
HP:11891/15900
MP:3000/3100
STR:13001
VIT: 8300
DEX:14920
AGI: 2900
INT: 8410
LUC:  140

 ミノルより弱いっぽい。スモールでフリーターとか、負け組ドラゴンだなコイツは。ダンジョン内での出世競争に、おいてけぼり喰らったのだろう。

「とは言え、俺より全然つえぇよな……」

 ドラキチは部屋の前の通路から、こちらの様子を窺っている。ドラゴンの癖に用心深い性格をしてやがるぜ。

「グルルルルルル」

 なんか喉ならしてやがるぜ。怪しい雰囲気を感じる。

 まさかそこから火を噴いて、部屋の中を焦げ焦げにしようとか、考えてたりするんじゃねぇだろうな?

 そんなことされたら俺は丸焦げだ。

 なんて考えていたら、本当に口を開きやがった。

 喉の奥から炎が迫り上がってくる。

「マジかよっ!」

 なんて小賢しいんだ負け組ドラゴン。

 だからお前は負け組なんだよ!

「うぉあああああああっ!」

 炎が吹き出す。室内へ向けて。

 けれど、それは通路から部屋へ侵入せんとしたところで、見えないバリアーっぽいものに遮られる。まるで煉瓦をバーナーで炙ったような具合だ。

「お、おぉ、おうおうおう。なんだそりゃ」

 無事だ。俺は無事だ。

炎はバリアーに阻まれて部屋の中まで入ってこない。

「すげぇ。なんだよこれ。聖域の巻物でも敷いてあるのか?」

 まさか見つからない。

 きょろきょろ、周囲の様子を窺っていると、ロリマンコが戻ってきた。

「ただいま戻りました」

「おいっ、ちょっと見ろよ! あれスゲェぞ! あれ!」

「……障壁がどうかしたのですか?」

「障壁? なんだよそれ」

「力なき素人童貞チンポが死なないように、私が用意しました」

「なんだ、お前かよっ」

 途端に興味の失せる感覚。

 くっそ、スゲェ発見したと思ったのに。

「っていうか、お前、そんなもんどこから持ってきたんだよ」

 俺は意識をロリマンコへと移す。

 眺める先には頭上に伸ばした両手の上、ドドンと乗ったベッド。どこからパクって来たのか、シーツや掛け布団、マクラまで付いている。

 しかも割と豪華だ。フランスベッド的な気品を感じるぜ。

 そういや、フランスベッドって日本の企業らしいぜ。俺は二十七を超えるまで知らなかったわ。日本人のフランス好きは異常だろ。

 ドラゴンは相変わらず、必至になって見えない壁に炎を吹きかけている。俺よりINTが高い癖に、阿呆なヤツだ。

「親切な貴族に貰いました」

「そりゃ親切な貴族もいたもんだ」

「配置します」

「マジで宿屋するつもりかよ」

「当然です。一度口にしたことは絶対に果たします」

「まあ好きにやってくれよ。俺は負け組ドラゴンを鑑賞してるわ」

「静かにしていてくれるなら、何をしていても結構です」

「あいよ」

 ロリマンコの宿屋作りが始まった。

 なんちゃってルーラとリレミトもどきを使い、次から次へと、ベッドやらタンスやら絨毯やら、実に様々なものを運び込んでくる。調度品はどれも値の張りそうなものだ。

 十数畳ばかりの部屋は、早々のこと家具で埋め尽くされる。

 ぼこぼこだった壁もドリル魔法で平坦に均される。

 四方八方、壁紙までもが張り巡らされて、気付けばそこは小綺麗な宿屋の一室となっていた。つい今し方まで、殺風景なダンジョンの一部屋だったのに。

 しかも、割とお洒落である。センスがある。ムードがある。なんかムカツク。まるでアンティークショップに眺めるモデルルームのよう。

 少し薄暗い室内、間接照明に照らされて、鈍く輝く木製の家具がスゲェ良い感じだ。渋い大人の寝室系。色に例えるとダークブラウン。そんなイメージ。

 唯一の例外は、未だに入り口で見えない壁と格闘しているドラゴンくらいだ。延々と炎をはき続けている。コイツは絶対に馬鹿だ。エクセレント馬鹿だ。

「扉を取り付けたいので、そこのトカゲを排除します」

「え、それは可哀想だろ」

「可哀想ですか?」

「ジッと見てたら、なんつーか愛着沸いてきたんだよ」

「これのどこが良いのですか?」

「馬鹿なところとか、アホっぽくて可愛いだろ」

「類は友を呼ぶと言いますね」

「うるせぇよ」

「では、このまま放っておきましょう。扉を付けられないのは癪ですが」

「俺専用のプチ・ジュラシックパークだぜ」

「ジュラシックパーク? なんですか?」

「お前みたいなのが沢山いる場所だよ」

「それはさぞ美しい場所なのでしょうね」

「はは、ワロス」

 何はともあれ、今晩の宿をゲットだぜ。

 本来予定していた宿泊先より、随分と標高を落としてしまったが、宿の質としては向上して思えるので良しとしよう。無駄に雰囲気良いしな。

「しかし、トイレがない。もしもオシッコしたくなったら、どうするんだよ? とか考えると、ほらみろ、なんか無性にトイレに行きたくなっちまったじゃんか。どうしてくれるんだこの野郎」

「私は排泄しませんので、問題ありません」

「いっそ、お前の口の中に出してやろうか?」

「噛み千切りますよ?」

「俺の極太をお前程度の貧弱な顎に千切れるものか愚か者め」

「では試してみましょうか」

「うっせぇっ、いいからトイレ作れよ! トレイ!」

「まったく、世話の焼ける主人です」

 無事にトイレの併設も決定された。

		◇		◆		◇

 翌日、目覚めて最初に見たのは、未だに障壁へ炎を吐き続けるドラゴンだった。見えない壁の向こうで、必至になっている。一晩を吐き続けたのか、些か眠そうだ。

「あいつ、まだやってるよ」

「相当に馬鹿ですね」

「INTの存在意義が俺には分からないぜ」

「なんの話ですか?」

「ああいや、俺の脳内で展開される崇高な論理記述様式だ」

「馬鹿の妄想ですか」

「黙れよ腐れロリマンコが」

 一晩をぐっすり眠って、気分爽快、体力充実、なんか良い気分だぜ。やっぱり人間はベッドの上で寝ないと良くないな。地面に転がるのは獣のやることだ。健康で文化的に生きるべきなんだよ。

「ところで、今日の予定は決まっていますか?」

「あー、そうだなー」

 決めてなかった。

 宿も美少女(仮)も手に入ったので、当面、飯さえ食えればそれでいい。

 取り立ててやりたいこともないのだ。

「まずは飯だな、飯」

「食っては寝て、食っては寝て、駄目な人間の典型ですね」

「黙れよ。っていうか、ここ丸一日何も食ってないぞ。俺は」

「それは私も同じです」

「人形が飯食うのかよ?」

「食べません」

「ならいいじゃんかよ」

 まったく、このクソマリオネットは。

 まあいい、目的は決まった。飯だ飯。

「んじゃ、とりあえず飯屋まで行くぞ」

「分かりました」

 延々と炎を吹き続ける負け組ドラゴンを放置して、自作宿屋を後とする。

		◇		◆		◇

 結論から言うと、飯屋に俺の居場所はなかった。昨晩、町内の諸宿屋から受けたものと同様の待遇を得た。曰く、席が満員ですので、またの機会にお越し下さい。

 そうして語る店員の背後では、ガラガラの店内。ふざけんなと思って指摘すれば、なんでも予約席だそうだ。どこのアホだよ、昼の大衆食堂で席を予約するヤツは。

 この街はマジでふざけてる。俺にとても冷たく出来ている。

「宿屋のみならず飲食店にすら入店拒否されるとか、マジねーよ!」

「日頃の行いの悪さが祟りましたね」

「全部お前のせいだよっ! ふざけんなこの腐ったロリマンコ!」

「ですから、私はあれほど皆殺しにすべきだと提案したのです」

「ぐっ……」

 たしかに、それはそれで一つの答えかも知れない。こんなことなら、ダンジョン内での不幸な事故の一つとして終わらせてしまえば、良かったのかも。Gカップも明日の飯には変えられないだろう。

 とは言え、過ぎてしまったことを悔やんでも仕方が無い。

 俺は未来に生きるニートだ。過去など振り返ってやるものか。反省なんて絶対にしねぇ。俺は常に正しい。間違っているのは常に世界の方だ。俺が正義だ。俺以外の全てはクズだ。俺を持て囃さない全てはゴミだ。汚物だ。

「どうするのですか?」

「マジでキレちまったぜぇ。ふざけんな。こうなったら目に物見せてやる」

「皆殺しですか?」

「ちげぇよっ! んなことしたって腹は膨れねぇだろ!」

「ではどうするのですか?」

「んなもん、俺様最強レストランを開店するに決まってるだろうが!」

「レストランですか?」

「そこいらの連中なんて、経済的にぶっつぶしてやる!」

「なるほど」

 中世ヨーロッパ程度の文化レベルで、俺様最強現代日本の超絶高度経済成長しちゃった俺TUEEE理論に勝てる筈がないだろうが。ぶっちゃけ料理とかやったことないけど、これはもう目に物見せてやるぜ。

「しかし、飲食店を開店するのは良いですが、どのような段取りなのですか?」

「まずは食材だ! レアでイケてる食材をゲットするに決まってる」

「なるほど、他店と差別化を図るのですね」

「そんでもって、俺様の現代知識俺TUEEEで、マヨネーズとか、カレーとか、シーティキンとかっ! スキヤキィ! テンプラァ! 鶏のカラアゲェエエエエ! 王道テンプレで見事に全国チェーンがっぽがっぽの億万長者列伝開始だぜこら!」

「詳しくは不明ですが、プランがあるということは理解しました」

「よっしゃ、そんじゃあ素材を手に入れに行くぞ、素材を! つまりあれだ、これは料理系俺TUEEE物語だったんだ! サブカル的料理うめぇで世界を手中に収めるマジカルな物語だ!」

「ところで、行くのは良いですが、どこへですか?」

「俺が知るかよ。適当に上手そうな肉が生えてる場所へ行くぞ!」

「分かりました。それでは移動致します」

「おうっ! 行くぜゴラァ!」

 俺が吠えると、足下に浮かび上がる魔方陣。

 かと思えば、次の瞬間には周囲の光景が変わっていた。アレだ、ドラゴン氏が使った魔法と同じやつだ。ルーラもどき。気付けば周囲の光景は暗転、然る後、どことも知れぬ場所を映していた。

		◇		◆		◇

 ところ変わって、早々のこと帰ってきたロリマンコ手製のダンジョン宿屋

「って、ダンジョンかよっ!?」

「肉は沢山生えていますよ」

「ぐっ……」

 たしかに肉は沢山生えている。否応にも遭遇する。けれど、全てはモンスターだ。俺が想像する牛だとか、豚だとか、鶏だとか、そういった類いの、人間に食われるが為に生み出され続ける生き物とは、まるで異なった生物である。

 ミノタウロスの唐揚げとか、誰が食うんだよ。

「ば、化け物なんて食えるのかよっ!?」

「スモールドラゴンの肉は人間にとっても、大層のこと美味であると聞きますが」

「マジかよっ!?」

「私は主人に決して嘘など言いません」

「そ、そうかよ……」

 なるほど、食って食えない手合いではないらしい。ならば、こちらも躊躇することはないのではないか。この世は弱肉強食。姿こそ変われど、奴等は牛であり、豚であり、鶏であるのだ。

 食してなんの問題があろうか。いやない。

「よ、よし、んじゃまあ、俺も不服はねぇぜ!」

「では、獲物を確保しましょう」

「っていうか、そこで火を噴いてるヤツを食えばよくね?」

「まだ頑張っていたのですね」

 宿屋の入り口ではスモールドラゴンが火を噴いている。昨晩から延々と続けている為、火の勢いは当初の一割程度だ。何がコイツをここまで必至にさせるのか。

 まあいい、今の俺にとってコイツは食品だ。美味しく頂いてやろうじゃないか。負け組ドラゴンは美味いとか、ロリマンコも言ってるしな。

「よし、やっちまえ」

「仕留めます」

 ロリマンコが腕を床と水平に構える。かと思えば、手の平からビームを発射だ。

 ズビームっと色白光線が飛んでいく。太さは鉛筆くらい。これが宿屋の出入り口に火を噴く底辺ドラゴンに命中。脳天に小さな穴を開けた。

 ドラゴンであっても、脳味噌は弱点なのだろう。バタリ、橫倒れとなり、ピクリとも動かなくなった。

 なんつーお気楽な狩りだ。一晩を共に過ごして、少しばかり愛着の沸いたドラゴンだけど、腹の虫がグゥグゥと鳴っているのだから仕方ない。

「仕留めました」

「おっしゃ! 次は解体だ!」

 最近はジビエとか流行ってるし、男ならドラゴンの一匹くらい、軽く捌けなければカッコがつかねぇよ。異世界転生的に考えて。

「と思ったけど、包丁がねぇよ。包丁が」

「ええ、ありませんね。あと、ここで捌かないで下さい。宿屋が汚れます」

「確かにスゲェ量の血が出そうだよな……」

 ドラゴンは頭から尻尾の先まで、凡そ五メートルくらい。体重はきっと、ちょっとした車くらいあるんじゃなかろうか。下手したらトンだ、トン。

 なにも考えずにナイフを入れたら、そりゃもうドバッと来るだろうよ。俺も寝床が血まみれなんて嫌だぜ。ニートの心は繊細に出来てるんだよ。

「地上へ移動しますか?」

「そうだな。野生のキッチンを手に入れる必要がありそうだ」

「ではドラゴンを運搬しましょう」

「お前の魔法で大丈夫なのかよ?」

「人間一体、スモールドラゴン一体、これくらい余裕です」

「んじゃまあ、適当にパパッとやってくれよ」

「分かりました」

 ロリマンコに頼んで、一路、地上を目指してワープだワープ。

		◇		◆		◇

 ルーラで移動した先は町だ。ロリマンコのやつめ、随分と賑やかな場所へ運んでくれたもんだ。まわりには人が大勢いる。出店に賑わう大きな通りだ。

「おい、すっげぇ見られてるぞ」

「主人の顔が不細工だからじゃないですか?」

「俺の顔面はドラゴン級かよ」

 並び立つ俺とロリマンコ。

 その傍らにはグッタリとして動かない負け組ドラゴンの死体。

 どうやら、ドラゴンの死体は珍しいモノらしい。

「さて、包丁を調達するか」

「あちらに金物屋の出店があります」

「よしっ、買ってこいロリマンコ!」

「分かりました、素人童貞チンポ野郎」

 存外のこと素直に頷いて、ロリマンコは金物屋へと包丁を購入しに走る。ところで、アイツは金を持っているのだろうか? 疑問に思わないでもない。

 数十メートルの先、路上へござのようなものを広げる露天の前で、店番の中年男と言葉を交わすことしばらく。無事に購入が済んだのか、包丁を片手に戻ってきた。

 抜き身に握りながら走ってくるので、ちょっと怖い。そのまま駆けてきた勢いで、プスっとやられそうだ。

「買ってきました」

「お前、金持ってたのかよ」

「こんなこともあろうかと、昨晩の内に主人の財布から抜いておきました」

「勝手に抜いてんじゃねぇよっ!」

「結果オーライです」

「このクソビッチが……」

「ところで、主人はこれを包丁一本で捌けるのですか?」

「んなもん、やってみなきゃ分からねぇだろが」

「そうですか」

 よし、準備は整った。ここらで解体ショーといこうじゃないか。観衆から向けられる好奇の視線が身に刺さるぜ。知ったこっちゃねぇ。

 日本でも築地のあたりへ行けばやってるじゃんかよ。マグロの解体ショーとか。テレビでしか見たこと無いけどさ。

「おらぁああああああっ!」

 力一杯、包丁をドラゴンの鱗へと突き立てる。首の辺りだ。まずは頭を落とそうぜ。ニワトリだって最初に頭チョンパするだろ。

 グサリ。包丁がドラゴンの首に刺さる。

 筈だったのに。パキィインと良い音が響いて、逆に包丁が中程で折れた。

 折れた包丁の一片は、ヒューンと明後日な方向へと飛んでいった。

 そして、観衆の一人の目玉に突き刺さる。グッサリ。

「うぎゃああああああああああああああああっ!」

「わっ、この包丁、折れやがったっ!」

 トンデモねぇ! 伊達にドラゴンしてねぇな。鱗がめっちゃ硬いわ。スモールとか書いてあったけど、腐ってもドラゴンはドラゴンだわ。マジやべぇ。

「周囲を巻き込むとは、酷い主人ですね」

「お、俺じゃねぇよっ! ドラゴンの鱗がやったんだ! コイツがっ!」

「うぎゃああああああああ、お、俺の、俺の目がぁああああああっ!」

「どうするのですか?」

「いやおい、なんとかしろよ? できないのかよ? お前が買ってきた包丁だ!」

「使ったのは主人です」

「こういう時は使用者じゃなくて製造元が訴えられるって相場が決まってんだよ!」

「どこの国の相場ですか。良い具合に腐っていますね。というか、その包丁は私が作った訳ではないのですが」

「俺の国の相場だよ。そして、腐ってる点に関しては同意だな」

「国が腐っていれば、出身者が腐っているのも道理です」

「そうさ、そのとおりさ。俺が悲しい感じなのも、全ては生まれが悪い!」

「では対応と致しまして、この場の目撃者を皆殺しにしましょう」

「ちげぇよっ! 治せよっ! あの目が痛い人を治すんだよ!」

「まったく人形遣いの荒い素人童貞チンポ野郎です」

 少しばかり憤慨した様子で、ロリマンコが歩いて行く。包丁が目玉に刺さり、叫び苦しんでいる野次馬の下へと。

 俺としては自己責任だろと思うのだが、ダンジョンの一件もある。後で文句を言われるのは面倒なのだよ。

「大人しくしなさい、この下種」

 ガツン、ロリマンコが悶絶する男の股間を蹴り上げる。今度は両手を股間へとやる悶絶野郎。上が痛くなったり、下が痛くなったり、なんて忙しいヤツだ。まあ、顔がイケイケなので、心中にざまぁ、言葉を送っておくのさ。

 その間、ロリマンコは、自らの両腕を男へ向けて正面に掲げる。応じて、手の平の先数センチに魔方陣が浮かび上がった。宙に描かれた線が穏やか滲むよう輝くに応じて、男の怪我は癒えていった。

 ぽとり、突き刺さった包丁の先端も抜けて落ちる。

「おぉ、すげぇ」

 思わず呟いた。こういう魔法もあるんだな。マジでファンタジーだわ。

「怪我をしたくなかったら、主人には近づかないことです。阿呆ですから」

「ひ、ひぃいいいいいいっ!」

 男は悲鳴と共に逃げていった。

 根性のないイケメンだ。きっと甘やかされて育ったのだろう。

 その姿を確認して、ロリマンコが俺の下まで戻ってくる。スタスタ。

「治してきました」

「うむ、ご苦労だった」

「いちいち人の神経を逆撫でるのが上手な素人童貞チンポ野郎ですね」

「だろ?」

「くっ……」

 心底、憎らしそうな顔をするロリマンコ。

 ちょっと気分が良くなったぜ。

「ところで、お前が買ってきた包丁、折れちまったんだが」

「当然です。そこいらの包丁でドラゴンの首が落とせるなら、今頃、あのダンジョンは主婦の狩り場になってます。毎日の献立にスモールドラゴンの肉が並びます」

「それもそうか」

「これだから考えなしの脳足りんは」

「っていうか、それじゃあどうやって解体ショーするんだよ?」

「鱗を一つ一つ剥いでいけばいいんじゃないですか? それもかなり大変ですが」

「んなことしてたら日が暮れちまうよっ!」

 あー、なんか面倒になってきた。なんで飯を食う為だけに、ここまで苦労しなきゃならないんだよ。ありえないだろ。今日日、牛丼屋は一分で準備するってのに。

 俺が飯を食いたいと思ったら、飯の方から茶とお新香付きで飛んでくるのが礼儀ってもんだろうがよ。飯の分際で俺の手を煩わせるとかマジで死ねよ。

 昨日から何も食ってないから腹ぺこなんだよ。相当に気が短くなってんだよ。

「くぉああああ、面倒くせぇ! やってらんねぇっ!」

「飽きっぽい性格の持ち主ですね」

「うるせぇよっ! 意味のないことに時間を費やすのが嫌なだけだね! 俺は賢いから、無駄なことは一切しない主義なんだよ! 常に効率を求めているんだよ!」

「では、このドラゴンはどうするのですか?」

「んなもんっ、あぁ、えっとっ、このぉおおお……」

 どうしてくれよう、この負け組ドラゴン野郎めが。

 死んでまで俺に迷惑を掛けやがって。

「ほら、あれだっ! 困った時は業務委託だ! ベンダーコントロールして、後出しじゃんけんで、委託先のエンジニアをボロボロになるまで使いこんで、俺たちは悠々と定時帰りキメながら、納品物をゲットするんだよ! おうおう、それしかねぇ!」

 俺ってばマジで勝ち組志向だろ。経営者に向いてるよな。

「よく分かりませんが、他者に頼むということですか?」

「平たく言えばそのとおり。っていうか、お前って料理できないの?」

「できません」

「なんだよ、使えねぇな……」

「自分より使えない人間に使えないと言われるのは甚だ心外です」

 ということで、誰か他に良さげなヤツはいないか。グルリと周りを見渡す。俺とロリマンコの周囲には、いつの間に集まったのか、数十人規模の野次馬共。

 コックっぽいヤツを探して、そいつに丸投げしちまえば良い。そして、探してみれば、いるじゃないの。俺こそコックと言わんばかりのヤツだ。

 エプロンにコック帽姿の三十代くらいに見えるオッサンがいた。俺よりも少しだけ年上っぽい顔立ち。彫りの深い白人なので、もしかしたら同世代かもしれない。

「おい、そこの白衣着たオッサンっ! オッサンってばダンディーじゃん?」

「あぁ? 俺か?」

「そうそう、オッサンだよ、オッサン。突然だけど、ちょっとこのドラゴン、俺の為に料理してくれない? 余った肉とか、無駄にびっしり生えてやがる鱗とか、欲しいならやるからさぁ」

 ドラゴンの鱗が高く売れるのは異世界転生俺TUEEEの定石だよな。

「はぁ?」

 はぁ? じゃねぇよ。料理しろよ。コックだろ?

「だから、ドラゴンステーキ作ってくれって言ってんだよ」

「お前、それってスモールドラゴンだろ? なんで見ず知らずの俺なんだよ」

「そりゃあ、お前がスゲェ良い感じでコックしてるからだろ」

 人は見た目と学歴で選べって会社の人事も言ってたしな。いやマジで、イケメンの高学歴とかスゲェ仕事できてたし、九割くらい正しいと思うわ。逆にブサメンの低学歴は超絶使えない。いや本当、マジでマジで。こっちも九割くらい正しいと思うわ。

 あぁ、でも四十過ぎの東大卒な管理職はガチで使えねぇ。ヤツら自分の出世しか頭にないから、周りに迷惑ばっかり掛けやがる。頭が良いのも向かう先の如何では色々と考えものってやつだな。

 まあまあ、学歴コンプは置いておいて、俺もこの法則を利用させて貰うぜ。

 そして、この世界の履歴書っつったら、おい、ステータスしかねぇよ。


名前:アンドリュー・ドリランド
性別:男
種族:人間
レベル:45
ジョブ:コック
HP:1302/1400
MP:0
STR: 340
VIT: 200
DEX:3020
AGI: 300
INT: 221
LUC: 609

 業務委託するときは委託先の信用が大切なんだよ。下手なところに頼むと土壇場で逃げやがるからな。あと、派遣契約の場合は成果物の納品とか契約書に書かないことが多いから、これがもっと重要だ。斡旋業が出してくる職歴書なんて嘘だらけだ。ヤツら一週間の研修やっただけで、なになにのプロです、とか売り込んで来やがる。マジでクソだ。

 そういう意味で、こいつはちゃんとコックしてるようなので問題ないだろ。DEXが高いところが、いいじゃんいいじゃん、コックっぽい感じするだろ。ラグナロクオンラインでもハンターはDEXが攻撃力に反映されてたし、きっと、コックもそういう感じで料理の腕前へ反映されるに違いない。

「ほぉ、俺の姿に一目惚れしたってことか」

「言っておくが俺はロリコンだ。ホモじゃねぇ」

「まあ、そういうことなら、考えてやらないでもない。しかし、俺には先約がある。スモールドラゴンの肉は魅力的だが、それ一体でどうにかされてやる訳にはいかねぇな。少なくとも、これをあと二十は用意して貰おう。できるか? お前に」

「二十匹も集めて何作るんだよ……」

「俺はなんでも作れる」

「無駄にプライドが高くて使いにくい職人の典型だな」

「ならばこの相談はなかたことにして貰おうか」

「いや、ちょっと待てよ。このコミュ障のヒキニートな俺が、膝とかガクブルさせながら、啖呵切って一生懸命に交渉してるんだから、ちょっと待てよっ」

 二十匹とか、どんだけ大食いだよ、このコック。

「おい、あれってあと二十匹くらい捕まえられるか?」

 俺は大慌て、ロリマンコへと質問をスルーパス。

 ロリマンボディーに向き直り、ロリマンイヤーにボソボソと訪ねた。もちろん、コック野郎に聞かれないよう、内緒話である。

 すると、返ってきたのは随分と景気の良い話だ。

「ダンジョンへ行けば幾らでも捕れますがなにか?」

「ならよし」

 それなら問題あるまい。

 俺は再びコック野郎へと向き直る。

「よし、二十匹用意してやるから、俺のところでちょっとコックしてけ」

「……本気か?」

「んだよ。まさかふかしこいたのか? あぁ?」

「なるほど……」

 これにコック野郎は多少ばかり悩んだ。

 だが、すぐにニカっと良い笑みを浮かべて、サムズアップなどしてみせる。

「いいだろう。行ってやるよ。お前のところに。けど、嘘だったら即日で辞めるからな? 俺はスゲェ忙しい男なんだからよ」

「おうよ。そっちもちゃんと約束守れよな」

 よし、これで今晩の飯をゲットだぜ。

		◇		◆		◇

「マジかよ……」

 ところ変わって、今に立つのはダンジョンの地下六十階。ロリマンコが作ったダンジョン宿屋を眺めて、コック野郎は酷く戦いた様子である。ルーラで負け組ドラゴン諸共、一息での移動だった。

「どうだ、まいったか。すげぇだろ」

「主人は何一つとして関与していないにも関わらず非常に偉そうですね」

「ちゃんと現場監督してただろうが。ドラゴン見張ってたし」

「本当にここはダンジョンなのかよ? 普通に宿屋じゃねぇか。いや、今の場所を移動する魔法は凄かったけど、なんなんだよここは」

「だから宿屋だっつったろ」

「どこの宿屋だって聞いてんだよ」

「そんなに気になるなら、そこのドアから出て外とか見てくりゃいいだろうが」

「おう、それもそうだな」

 俺が指し示した先は、宿屋の出入り口。今朝までドラゴンが延々と炎を吐いていた辺りである。そこにはいつの間にやら、立派な木製のドアが設えられていた。恐らくロリマンコの手によるものだろう。

 そこまでしてドアを付けたいのか。妙な拘りだな。

「気をつけろよー」

 俺の言葉を背に受けて、男はドアを開く。

 ならば、その先に待っていたのは、下半身が馬で上半身が人間という、非常にアグレッシブな外見の化け物だった。頭には角まで生えている。性別は男。筋肉ムキムキのマッチョ面だ。

 しかも、馬並みの逸物が、後ろ足の間からベロンと垂れている。ミノルといい、コイツといい、なんて羨ましいサイズだ。俺もこれくらい立派なモノがあれば、巨根AV男優として飯を食っていけたかもしれないのに。

 くっそ、デカチンでロリータをヒィヒィ言わせたいぜ。

「うぉおおおおおおおおっ!」

 男が大慌てでドアを閉める。

 次の瞬間、ズドンと低い音がその先から響いて聞こえた。

「どどどどど、どうなってんだこりゃっ!?」

「だから言ったじゃんかよ。ダンジョンだって」

「マジもんかよっ!?」

「マジだぜ。マジ」

「阿呆ですね」

「んなこと言ったって、誰がダンジョンの中に宿屋あるとか思うよ!? あぁっ!?」

「今日から考えを改めて下さい。ダンジョンの六十階には宿屋です」

「お、おう……」

 有無を言わさぬロリマンコの物言いを受けて、神妙な顔に頷くコック野郎だった。あるものはあるのだから仕方が無い。その辺は我慢して貰おう。

「んじゃ、そういう訳だから、キッチン作るぞ、キッチン」

「分かりました、宿屋の増築ですね。隣の小部屋と繋げて内部を改修します」

「お前、意外と楽しんでるだろ?」

「そんなことありません」

「ふふん、まあ、今のところはそういうことにしておいてやろう」

「……ムカツク主人ですね」

「っていうか、水道とかどうするんだよ?」

「水なんてどうにでもなります」

「え? ダンジョンって水道とか引いてあるのか?」

「魔法で出せば良いじゃないですか。この主人は発想が貧弱ですね。それだから、いつまで経っても素人童貞のままなんです」

「こ、この腐れロリマンコが……下水はどうするんだよ?」

「それも魔法で外へとうっちゃります。あとは外の人間がどうにでもするでしょう」」

「ひでぇなおい」

 そんなこんなで、コック野郎の為にキッチンを増築することとなった。

		◇		◆		◇

「完成しました」

「早いな、おい」

 キッチンの制作が決まってから小一時間。早々のこと完成しました宣言を受けて驚いた。気付けば宿屋な小部屋にはドアが設けられており、その先にはキッチン風情な光景が窺える。恐らくは宿屋に同じく、設備はどこぞの貴族宅からパクってきたのだろう。

 ドアの前にはドヤ顔でこちらを見つめるロリマンコだ。

「さぁ、確認して下さい」

「だってよ。おい、コック」

 これを俺はコックへスルーパス。

 当のコックはと言えば、ベッドの上に腰掛けたまま、驚きの只中だ。隣室から聞こえる物音に、今の今まで延々と緊張していた様子だった。俺と比べて、この世界の既成観念を知る分だけ、驚きも大きいのだろう。

「あ、あぁ、本当に作ったのか……」

 その傍らには依然として横たわる負け組ドラゴンの死体。

 俺としては、そろそろ鮮度が気になる。

「早く確認して下さい。主人もです」

「俺もかよ」

「そうです」

 出来たてホヤホヤのキッチンを自慢したいのだろう。自分の制作物を誰かに見て貰って、評価されることを期待しているのだろう。妙に人間くさいマリオネットに促されて、二人共々、新設されたキッチンへと移動する。

 新たに敷設されたドアの先、一歩を踏み出した俺の目に映ったのは調理場。凡そ中世ヨーロッパ的な調理場。中世ヨーロッパ的な調理場がどのようなものかは分からないが、中世ヨーロッパなのだから、中世ヨーロッパなのだ。ファンタジーのスタンダードくらい理解しておけってやつだ。

「おぉ、すげぇ」

「たしかに、これは良い調理場だ……」

 ロリマンコの言葉を受けて、コック野郎が感嘆の声を漏らす。

 俺も同様。

 適当に呟いておいたのだけれど、どうやら本当に凄い調理場らしい。

「これを好きに使っても構わないのか? 水回りはどうなっている?」

「水回りはこれですね」

 ふらふらと誘われるように、用意されたキッチンへ向かい行くコック野郎。これにロリマンコは律儀にも、自らの用意した設備を説明して行く。

 料理なんて美味しい飯さえ食えれば問題ない俺は、それを遠巻きに眺める限りだ。

 そうして幾らかの説明タイム。

 さっさと終われとばかり、眺めているのが俺の役目。

 ややあって、コック野郎が吠えた。

「なるほど、素晴らしい!」

「ということで、料理は任せました。以後はそちらの仕事です」

「ああ、こういうことならば、幾らでも調理してみせよう」

 どうやら合意が取れたらしい。俺としては美味い飯にありつければそれで構わないので、口出しをするつもりなど毛頭無い。ここから先はコック野郎の趣味の世界だ。せいぜい、素敵な飯を作って貰いたいものだ。

「んじゃ、あとは任せたぞ」

「ああ、任せろ。ここまで用意されては、料理人の腕が唸るというものだ」

「なら良かった。好きにやってくれよ」

「期待して待っていろ」

 そして、猛烈な勢いに調理へと取りかかるコック野郎だった。

 その日の晩飯は大変に美味であった。

 負け組の癖になかなか美味いドラゴンである。

		◇		◆		◇

 空けて翌日。

 目覚めは最高だった。目覚まし時計に起こされることもなく、寄生先の親から小言に追い詰められることもない。何不自由ない開放感と共に、面倒な柵全てから解き放たれての満ち足りた目覚めだった。昨晩、良い具合に腹が膨れたことも手伝ってのことだろう。

 なんつーか、もうこのゲームはクリアした気分だ。

「衣食住と三拍子揃ったぞ。素晴らしいな」

「全て私が用意しましたが」

「家来の手柄は主人の手柄だ」

「酷い主人ですね」

「とは言え、この度の働き、誠に見事であった」

 コイツ口は悪いが、なかなか使えるマリオネットだ。

 ちょっとくらいは感謝してやってもいい。

 おかげで今の俺は不労所得的な何かを手に入れた勝ち組である。世の経営者が人材派遣業に手を出したがる理由がよく分かるぜ。自分が何をせずとも、勝手に下々の者が汗水垂らして金銭を運んできてくれるんだから、真面目に働くのがアホらしくなるぜ。

「それは褒めているのですか?」

「お前の耳は飾りか? もう二度と言わないからな」

「まあ、珍しくも私に感謝の情を抱いているのだと理解しておきましょう」

「ふんっ」

 ということで、やるべきことがなくなった。

 宿屋には風呂も完備されているし、便所だってある。飯はコックの野郎が捌いたドラゴンの肉が山ほど残っている。調味料もヤツが持ち込んだものがあるので、それで焼いて食えば数日は持つ。鮮度も冷凍魔法とやらで完璧だ。当面は狩りも不要。

 つまり、俺は食っちゃ寝してれば、日々勝手に時間は過ぎていくという寸法。更に飯の材料は向こうから勝手にやって来る始末だ。ドラゴンでもミノタウロスでも食いたい放題。しかも、ここはダンジョンの六十階。煩わしい人間関係もゼロだ。

 なんて素晴らしい環境だろう。

 素晴らしい。

 ただ、ここにはパソコンがない。インターネットがない。

 強いては娯楽がない。

「このままでは良くないな」

「やっと自らの駄目さ具合に気付きましたか? 素人童貞チンポ野郎」

「俺が悪いのではない、世間が悪いのだ。インターネットがないのだから!」

「なんですかそれは」

「退屈を殺し、自己顕示欲を満たしてくれる、素敵な道具だ」

「……サッパリ分かりません」

 このままではオナニーすらままならない。

 っていうか、暇すぎて性欲がヤバイ。よく考えたらもう数日間、俺はオナ禁状態じゃんかよ。おいおい、こんなに長いことオナニーしてなかったなんて何年ぶりだ。おかげでロリマンコの姿見てるだけでチンコが硬くなっちまう。

 そうだよ、おい、本当なら目の前のマリオネットを調教して、俺好みの性奴隷にしている筈だったのだ。あぁ、そういう意味だと、コイツの調教完了が真なる全クリって感じだよな。ちっくしょう、本気で犯したい。目の前のスーパー可愛いマリオネットとラブラブ親愛セックスしたい

 一度で良いから、この可愛らしいお口とベロチューして、だいしゅきホールドしてもらって、ちいちゃくて可愛らしいキュンキュンのお膣に中出しビュービューとキメて、できれば孕ませたり、孕まなくても精液で子宮をたぷんたぷんにしたい。

 くっそ、泣いて土下座したら、一回くらいセックスしてくれるだろうか。ぶっちゃけ外見だけなら、コイツと相思相愛ラブセックスできたら死んでも良いってくらい好みだし、なんかもうセックスしたくて心が叫んでるし。セックスセックス! セックス!

 試してみようか。よし、決めた。頼んでみよう。ロリマンコとセックスだ。

「な、なぁ、ロリマン……」

 が、頼み掛けたところで、ふと脇から男の声が響いた。

「ちょっといいか?」

「あ?」

 コック野郎だ。そう言えばコイツも昨晩はここで寝泊まりしたんだった。俺に同じく目を覚ましたらしい。隣のベッドの縁へ腰掛けてのこと。なにやらこちらを神妙な眼差しで見つめている。

 人が心をロリセックスで満たしてるってのに、キモい野郎の顔なんて見せるんじゃねぇよ。俺とロリマンコのバラ色マジラブちゅっちゅセクロスな妄想が、ひげ面にかき消されるじゃねぇか、本気で死ねよ。

 ああもう、ロリマンコ可愛いな。なんか無性に可愛いんだよ。セックスしようと決めた途端に愛おしさが溢れて来ちまったぜ。男の子の大切なところをビクンビクンと刺激されちまうぜ。

「なんだよ? 人がせっかく自尊心を殺して偉大なる一歩を踏み出そうとしたのに」

「いや、取り込み中のところ悪いんだが、地上へはどうやって戻ればいいんだ?」

「あぁ、そういやそうだったな。お前を送ってかないと駄目じゃん」

「送る?」

「いや、無理言って悪かったな。飯美味かった。ありがとな」

「あ、おいっ、それはどういう……」

「ドラゴン二十匹はあとで持ってくから、それでいいか? それともすぐに必要なら、これからロリマンコに取りに行かせるけど」

「ちょっと待て。俺はお前に雇われたのではないのか?」

「え?」

「違うのか?」

 おっと、なにやらミスっちまったようだ。認識の齟齬ってやつだ。

 ちょっとした認識の相違が、やがて大きな問題に発展するってやつだ。

 社畜をしていた頃、同じ部署の先輩がよくやったもんだ。懐かしいぜ。後始末はいつも俺の仕事だったな。職歴や評判と能力が比例しないって事実を俺はこれで学んだぜ。

「俺ってお前のこと雇ったのか?」

「違うのか? 私はそういう認識であったが」

「マジか」

「少なくとも、スモールドラゴンの肉を二十体分とは、それくらいの価値のあるものだろう? 相場にもよるが、ちょっとした屋敷が建つくらいの価値があるぞ」

「……マジか」

 あの負け組野郎、割と良い肉してたらしい。

 っていうか、いつの間にか雇用契約が発生してたよ。驚きだよ。

 各種保険とかどうすんだよ。俺、そういう総務なのはやったことねーよ。勘定科目とか大嫌いだよ。

「あ、あぁー、そうだったのか」

「勘違いしていたのか?」

「いやまあ、昨日の分の飯代っていうか、そういう感じ系みたいなー……」

「随分と狂った価値観だな」

「もしかして行く場所ないとか?」

「本来であれば昨日の晩に街の飯屋へ就く予定だった」

「おうふ、なんて重い話だよちくしょう」

 ちょっと心が痛いじゃんか。具体的にが胃のあたりがキシキシするぜ。

「まあ、無断で逃げちまった断りくらいは入れておきたいと思ってな」

「なるほどなるほど」

 俺としてはコックが居てくれるのは非常に嬉しいので、これは悪くない誤算だ。ただ、雇うからには給料が必要だ。けれど、今の俺は文無しだ。社会とは隔絶されている。貨幣経済から閉め出されている。

 まさか人なんて雇えるものなのか。

「給料、現物支給でもいい?」

「約束してくれた肉をくれるなら、向こう一年は働いてやるぜ? 言っただろ? それだけスモールドラゴンの肉があれば屋敷が建つってよ。あぁ、貰った分の肉の用途はこっちで決めさせて貰うけどな」

「マジか。スゲェな負け組ドラゴン……」

「負け組ドラゴン?」

「あぁいや、なんでもない、こっちの話。肉は好きにしてくれていいわ。二十匹分とか食い切れそうにないし」

 次からはステータスに肉の旨さとか追記してくれないもんかね。

 まあいいや、とりあえずはこのコックを地上へ送るとするか。

「おーい、ロリマンコ。そういう感じなんで、ちょっと頼むわ」

「相変わらず何もかもが適当ですね」

「だったら最初に指摘してくれよ」

「まさか気付いていないとは思いませんでした」

「くっ……」

 そんなこんなで本日の予定一発目が決定だった。

		◇		◆		◇

 ダンジョンから街へ移動。落ち合う場所と時間を決めて、コックと別れた。

 ということで、少しばかり地上で暇を潰す羽目になった俺である。特にやることなんてないんだけれど、せっかく暗い穴の奥底から這い出てきたのだ。何かしら暇つぶしの一つでも見つけたいところである。

「どうしたのですか? 間抜けな顔をして」

「この顔の美しさに気づけないとは、間抜けなマリオネットだ」

「その台詞を今この場に大声で叫んだのなら、私は前言を撤回します」

「ぐっ……」

 叫んでみようか。どうしよう。世間体なんてあってないようなもんだし。

 今だったら叫んでみても良いかも知れない。むしろ叫ぶべきだ。

 叫べる。俺ならばどこまでも、どこまでも叫び続けることが可能だ。

「この顔の美しさに気づけないとは、なんて間抜けなマリオネットだぁああああ!」

 気持ちいいぜ。見てみろ、行き交う通行人達が、白い目で俺を見ている。

 あぁ、気持ち良い。持っているものを捨てるって、人としての尊厳を捨てるって、こんなにも気持ち良いものだったんだな。調教系エロ漫画で、変態露出の末に、アヘ顔ダブルピースをキメるヒロインの気持ちが、今なら如実に分かるぜ。

 心に溜まる屈託した鬱憤の幾らばかりかが晴れるのを感じた。人はこうして自らを表現することで、日々のストレスを発散することができる。そうに違いない。俺もこれで、一人の表現者となった。

「気持ち悪いので近づかないで下さい」

「お前の提案だろうがっ! おらおら、前言を撤回しろよ!」

「私が前言を撤回したところで、主人のかぶる社会的汚評は変化しませんよ」

「んなもんどうだっていいんだよ。俺はお前とダンジョンで宿屋やるだけだしな!」

「……清々しいまでの阿呆ですね」

「はっははは、失うものが無い者は強いんだぜ! お前だけは死ぬまで一緒だコラ!」

 ジーっとこちらを見つめてくるロリマンコへ、胸を張って言ってやった。

 不思議なテンションだ。

「まあ、良いです。主人がどれだけ悪評を立てられようと関係ありません」

「ふふん、俺の勝ちだ」

「引き分けです」

 などなど、極めて阿呆な会話を交わしつつ、大通りを歩んでいった。

 すると、少しばかり歩んだところで、イベントとエンカウントだ。

「どけぇ。馬車が通れんぞぉ! どけぇっ、場所を空けるんだぁっ!」

 なにやら五月蠅いのが近づいてくる。

 見れば自己申告通り馬車だった。ただ、本来馬が収まるべきところに居るのは、馬らしからぬ生き物。カバと豚を二で割って頭に猫耳を付けたような、妙な四つ足。

 ぜんぜん馬車じゃねぇよ。

「なんだありゃ」

「奴隷の運搬じゃないですか?」

「ほぅ」

「大方、他の国との戦争か、国内の少数部族と小競り合いでもあって、この街の大将が自分の取り分を持ち帰って来たのでしょう。そこいらの奴隷商人が扱うにしては、些か規模が大きいです」

「なるほどなるほど」

 奴隷らしい。

 たしかに馬車もどきの荷台は牢として加工されており、内側には老若男女、人間から人間じゃないのまで、実に様々な生き物が押し込められていた。

 姿は見窄らしい。かれこれ数日、同じ服を着続けている俺の方が、まだ綺麗だと思えるくらいに汚い。っていうか、ちょっと臭ってくる感じ。

 そして、どいつもこいつも目が絶望している。都会の動物園に眺める動物のようだ。どいつもこいつも魂が抜けて思える。きっと、タバコの火を腕に押しつけたりしても、禄に騒がないだろう。

「奴隷とか最高じゃんか。美少女奴隷とか夢が広がるな。是非とも性奴隷に一匹、いいや、十匹くらい欲しい」

「相変わらずの腐った思考ですね」

「俺は自分に素直なんだよ。偽りに自らを覆い隠した奴等と一緒にすんじゃねぇ」

「覆い隠された下を比較しても尚のこと汚らしいと言ったのです」

「まぁな」

 じゃなきゃニートなんてやってねぇよ。俺の半分は嫉妬と憤怒で出来ている。残り半分はクソ袋だ。碌なもんじゃないぜ。

 ロリセックスしたいのだって、世間のリア充に嫉妬した結果だ。愛欲だの性欲だの、そんなもんは、多少ばかり生きていれば、容易に他の感情に塗りつぶされる。

 流石はキリスト様が乏しめた大罪だぜ。

 この肉体が不老不死のイケメン二十代になるのなら、或いは、もう少し綺麗な思考になったかもな。まあ、どだい無理な話だろう。特に後者な。

 性格も歯と同じくらい簡単に強制できりゃいいんだけどさ。

「欲しいな。ロリ性奴隷。二十人くらい」

「さっきより増えてませんか?」

「どれだけ居ても困らないだろjk」

「探せばいるでしょうが、可愛い娘はそれなりに高いそうですよ」

「成金スライムを売った金があるだろうが」

「そういえばありましたね。使い道がなかったので忘れていました」

「とは言え、今回は出番もなさそうだけどな!」

 俺の頭脳はロリファックに最適化されている。選ぶべき最良の選択肢は、即座に決まったぜ。馬車が俺とロリマンコの前を通り過ぎるころには決断完了。

「ここは一つ、正義のヒーロー作戦でいこう」

「主人の浅ましい心の叫びが、有り体に聞こえてくる下品な作戦名ですね」

「理解したなら話は早い。あの馬車を追い掛けるぞ、ロリマンコ!」

「了解です。素人童貞チンポ野郎」

		◇		◆		◇

 やってきました領主の館。

 ここからは略奪の時間だぜ。後を付けた馬車もどきは、幅広な門を越えて、敷地の中へと入っていった。門は再び閉ざされる。敷地を囲うのは高い壁。

 そして、その奥には立派な屋敷だ。

 恐らく同建物の中では、オマンコクパァだとか、強制中出し調教だとか、ザー汁肉壺攻めだとか、実に楽しげな催しが開催されていることだろう。

 正直、ジッとしていられないほどにもどかしい。俺も参加したい。否、主催したい。眺めて良し、参加して良しの、ロリロリ乱交パーティーへ。

「おいっ、行くぞっ! 哀れなロリ達を回収するんだ!」

「既に自らの意図を隠す気すらないのですね。あと鼻息が荒いです。気持ち悪いです」

「んなもん幾ら隠したって、チンコ入れた時点で意味なくなるだろうが! こういうのは勢いが大切なんだよ! 勢いが! 勃起している内に攫って、速攻でレイプキメてやるわクソが!」

「強姦すれば当然です。和姦という選択肢はないのですか?」

「んなもん時間が掛かるだろうが。第一、俺に惚れる女はいねぇっ!」

「そうですね」

「そう、俺は無駄な努力はしない主義なんだよ。最低のコストで最高の利益を出す。これこそ現代知識俺TUEEEEの鉄則だろ。どいつもこいつも偉そうに家の帳簿がどうの、簿記技術がどうの語ってやがるけど、あんなの意味がねぇ!」

「簿記? なんですかそれは?」

「俺の世界の瑣末なできごとだ。そこいらの内政系俺TUEEE野郎に教えて貰え」

「主人の言っている言葉の意味が分かりません」

「なら聞くな。ほら行くぞ! ロリ狩りだ!」

「普段と比べても殊更に理不尽ですね。そんなにセックスしたいのですか」

「したい! ロリロリでムチムチな幼女と特濃セックスしたい!」

 数日のオナ禁が祟り性欲は今この瞬間にマックスハートだぜ。

「……そうですか」

「時は命なり! いいから、ほら、行くったら行くぞ!」

「一人では壁も禄に越えられない主人の分際で、余所様に種漬けなどおこがましい」

「ロリのためならこんな壁くらい余裕っ!」

 どうにも動きの鈍いロリマンコだ。こうなれば主人自ら手本を見せてやるしかあるまい。俺は少しばかり助走を付けて、壁へと向かいジャンプ。

 ならばどうしたことか、一メートル弱を予定した跳躍は、まさかの三メートル越え。勢い良く宙へと舞って、無事に壁を飛び越えた。

「うぉおおおっ、スゲェ! 俺のジャンプすげぇっ!」

「むっ、以外と飛びましたね……」

 きっとレベルが上がったおかげだろう。ニート64のおかげだ。そうに違いない。おかげでロリファックへ一歩近づいたぜ。

 トサッと軽い音と共に着地。なんかカッチョイイ感じ。まるでアクション映画の主人公にでもなったような気分だ。当然、テンションも上がるってもんだろう。

「侵入成功。このまま突き進むぞ!」

「……分かりました」

 そして、傍らにはいつのまにやらロリマンコ。

 俺に同じく壁を飛び越えてやってきたのだ。

「っしゃぁっ!」

 意気も上々。俺は屋敷の探索へと乗り出した。

		◇		◆		◇

「おい、ムチムチな巨乳が多いぞ」

「そうですね。適齢のメスが多いですね」

 ロリマンコと声を潜めてヒソヒソ話。

 場所は侵入した館の地下室だ。

 そこでは俺が想像したとおり、最高にエロい展開が待っていた。裸に剥かれた女達が、石作りの壁へ金属製の手錠に拘束されていた。

 両手両足を鉄の鎖に押さえられて大の字である。

 誰一人服を着ていない。しかも錠は直立した女達の頭より高い位置にある。胸や股間を隠す術は無く、ボーボーからパイパンまで、マンコを拝みたい放題だ。

 ただ、誰一人の例外無く成人している。二十歳以下は窺えない。しかもどいつもこいつも巨乳だ。顔が整っている点に関しては悪くないが。

「なんでだよ」

「攫ってきた人間の趣味なのでは?」

「くっそ、ふざけた趣味しやがって……」

 俺の大乱交スマッシュシスターズを邪魔するとは腹立たしい。

「……そんなに幼い身体が良いのですか?」

「良い! 幼いのが良い!」

「即答ですね」

「でも、こうして眺めてると、巨乳も悪くないかなって思う。パイズリして全身ザーメン漬けにして、ムチムチボディーへとチンコなでつけて、四人ぐらい体中にまとわせて、ぐっちゅぐっちゅしたい」

「結局、穴が空いていれば何でも良いのですね」

「男とババァ以外ならな」

 さて、どうしたものか。

 女達の前には男が二人。

 一人は館の主人っぽい。もう一人はその執事といった感じ。裸の女を壁に並べて、品定めでもしているようだ。

 他方、俺達二人は地下室の出入り口、その扉を多少ばかり開けて、中を覗いている。俺とロリマンコで頭を上下に並べる形だ。

 俺のチンコがロリマンコの背中に当たっている。ちょっと気持ち良くて、ロリマンコが何も言わないのを良いことに、数分前からグリグリしてる。

 巨乳の裸を見たせいで勃起してる。ロリマンコとセックスしたい。

「どうするのですか? あと、背中に汚いモノを押しつけないで下さい」

「日が暮れるまで様子を見よう。だが断る」

「助けるという選択肢は無いのですか? 永遠に脱素人出来ないようにしますよ?」

「せめて本番が始まってからでも良いだ……へぶぅっ!?」

 問答無用で殴られた。

 歯が一本抜けた。

 カラン、小さな音を立てて、俺の右下の中切歯は床へ落ちた。これで通算三本目だ、コイツに永久歯を吹き飛ばされたのは。俺の歯をなんだと思っているんだ。もう二度と生えてこないんだぞ。

 とは言え、ロリマンコの身体にチンコを押しつける幸せに比べたら、歯の一本や二本、全然どうでも良くはないけれど、どうにも性欲が押さえきれなくて、押しつけたくなっちゃうのも致し方なし。

 それもこれもロリマンコがロリなのが良くない。コイツの責任だ。

「何者だっ!?」

 おかげで部屋の中の奴等に気付かれた。

「ちぃっ、お前のせいだぞロリマンコ!」

「そうです。私のせいです」

「謀ったなっ!?」

「仮に謀ったところで、過程は全て主人の自業自得です」

「無駄に頭の回ってくれるマンコ人形だ。大人しくアヘ顔してればいいのに」

「こちらに来ますよ。どうするのですか? 素人童貞チンポ野郎」

 トムとジェリーは仲良く喧嘩するそうだが、俺とロリマンコは犯るか殺られるかの関係だ。いつか絶対に犯してやる。中出ししてやる。孕ませてやる。

 あーくそ、オナニーしたい。

「決まってるだろ。ぶっ飛ばす!」

「誰がですか?」

「行け、ロリマンコっ! 十万ボルトだっ!」

「……この主人は碌な死に方しませんよ」

 俺の命令に酷く嫌そうな顔で答えて、ロリマンコは飛び出していった。

 バタン、大きな音と共にドアを開けて、その先、こちらへと向かい来る男二人へと腕を振るう。同時に、パシン、パシパシン、乾いた音と共に雷撃が走った。

 十万ボルトという単語を理解しているのか否か、ロリマンコは一瞬にして男共を黒焦げにしてしまった。僅か数秒と掛からず炭化である。

 人間が黒く焦げるなんて初めて見たよ。すげぇグロいわ。

「これで良いですか?」

 数歩ばかり離れた先、俺の側を振り返ってロリマンコが言う。

 パリパリとゴスロリ衣装の周囲に電気っぽい火花が走ってる。

 怖ぇ。

「う、うむ。流石はロリマンコだ。褒めてつかわす」

「ビビってますね? 主人、ロリマンコの力にビビッてますね?」

 返答が僅かばかり遅れたら、痛いところを突かれた。

「だだ、誰がビビってるかよっ! ビビってねぇよ! バーカ! バァーカッ!」

 ビビッて悪いかよ。

 怖いもんは怖いんだよ。

「まあいいでしょう。主人の肝っ玉が小さいのは承知の上です」

 ニタリといやらしい笑みを向けてくれるロリマンコ。

 露骨に見下げられた。

 きぃ、くやしい。

「ふん、それよりも獲物の回収だ。ムチムチマンコの回収だ」

「主人は強引なセックスして異性に嫌われるタイプですね」

「好かれようが嫌われようが、んなもんどうだっていいんだよ。俺は別にセックスがしたい訳じゃない。他人のマンコを使ってオナニーしたいだけだ。相手が気持ち良かろうが悪かろうが、痛かろうが辛かろうが、知ったこっちゃないな」

「清々しいまでの下半身クズです」

「さぁさぁ、下半身クズの女漁りタイムだぜ!」

 手をワキワキとさせながら、女達のくくりつけられた壁の側へ向かう。ロリマンコは大人しく俺の後ろから付いてくる。

 こちらが一歩を踏み出すに応じて、巨乳奴隷たちから短い悲鳴が上がる。今し方の十万ボルトの成果だろう。これで陵辱対象に舐められることはなさそうだ。

 いつだってS男プレイがしたかったのに、けれど面の弱っちさから、必ずソープ嬢には優位を取られていた俺だ。こうして真なるS男に成れたことを、非常に喜ばしく思う。

「さぁて、誰から犯してやろうかっ!」

「く、来るなっ! ゲスがっ!」

 一人、元気の良い巨乳パイパン奴隷が吠えた。

 俺のことを睨んでる。スゲェ睨んでる。

 間違いなく、ロリマンコとの会話が原因だろう。

「これはあれか、女騎士的なあれか」

「なっ、き、貴様っ、何故に私の出自をっ!?」

「マジで大当たりワロス」

 やっぱり陵辱するなら女騎士だよな。

 金髪碧眼。パッと見たところ、サクラ大戦3のグリシーヌみたいな感じだ。

「そうとなれば、イエス、最初はお前のマンコに決めた」

「来るなっ! 近づくなゲスがっ!」

「自分を圧倒するモノと敵対にしたとき、そいつの人間性ってのは良く出るよな。ゲスだの馬鹿だの罵ることしか出来ないヤツは、総じて自尊心ばかり高い駄目野郎って相場が決まってるんだぜ」

「なんだとっ!? わ、私はこれでも王国の高級士官試験を最年少でっ……」

「どうせ偉いヤツに股開いて合格したんだろ? 次は俺に開けよ巨乳淫乱ビッチめ」

「貴様ぁっ!」

 スゲェ顔真っ赤だ。

 流石は女騎士。テンプレな反応が大変によろしい。

「その場合、主人も自尊心ばかり高い駄目野郎にカテゴライズされますね」

「俺は最初から自明だからいいんだよ」

「もはや取り付く島もありませんか……」

 エロが良くない。

 エロが平常心を殺しているのだ。

 理性さん死亡のお知らせ。

「さーてとぉ、オマンコを揉み揉みしちゃうぜぇー」

 女騎士のオマンコへと手を伸ばす。

 人差し指と中指の先で、割れ目を下からタプタプするつもりだ。ロリではないけれど、見た感じ天然のパイパンである。人工ものにありがちなチクチクもなさそうだ。クリトリスから恥丘まで全てを晒すそれは、さぞタプタプのし甲斐があるだろう。

「うひゃひゃひゃ」

「その奇声は性行為へ至る気恥ずかしさを誤魔化す為のものですね。壁へ拿捕された他の異性の目を気にしているようにも思えます。つまり、これは主人の肝の小ささを如実に示した反応です」

「うっせぇよっ! ロリマンコは黙ってろ」

「図星ですね。所詮は素人童貞チンポ野郎です」

「大人しくそこで見てろ。今からこの女騎士で立派に脱素人童貞してやるからっ」

 無駄口を叩くロリマンコを振り返り一喝。

 そして、俺は再びマンコへと意識を向ける。

 そこで鳴り響く、女騎士の喚きを遮る声。

「わ、私をっ! 私をお願いしますっ! 私をレイプしてください!」

 音源は同じく壁にくくりつけられた女の一人から上がった。

 凜とした声。

 地下室に響き渡るレイプして下さい宣言。

 全裸でマンコと乳首を晒しながら、何やら覚悟を決めた表情で、声を上げているのだった。俺みたいなクズヒキニートを相手に、阿呆なことをお願いしている。

「は?」

「私をっ、私を犯して下さいっ! お願いしますっ!」

 いや、意味が分からないし。

 だけれども、異性からのお誘いを無視するなど不可能。

「おいロリマンコ、聞いたかっ!? 俺にも遂にモテキが来たぞっ!? 淫乱調教奴隷がオマンコのうずきを押さえられずに自らレイプ願望を訴えてきた。こんなの人生に一度のチャンスだ! まさか冗談であったとしても否認などできるものか!」

 実はこれが初めてのモテキだ。

 一生に三度とか絶対に嘘だと思ってたぞ畜生が!

 いや、これはもうモテキを通り越してヤリキだ、ヤリキ。

「しかもセックスへのダイレクトアタックだ! どうすんだよっ!?」

「モテキとやらが何某かは知れませんが、きっと幻聴ですよ」

「いやいやしかし、確かに俺の耳には確かに聞こえたぞ、異性が俺の立派な性器を求める女の声がっ! オマンコをオチンチンで犯して欲しいと切に願う女の訴えが!」

「お願いですっ! わ、私をっ、私を犯して下さいっ!」

「ほらっ! 聞こえるっ! 聞こえるぞっ! 俺のチンポを求める悲痛な淫乱女の叫びが! まさか、これを犯さずに終えるなど男として終わっている。有り得ない!」

「気のせいですよ」

「うっせ、黙ってろ」

 もちろん、全力でダッシュだ。ニート64の身体能力をフルに活用して、神速で移動した。生意気な女騎士なんて、自分からオマンコ犯して宣言する淫乱ムチムチ女の前にはクソ喰らえだ。オークと乱交してろ。

「お嬢さん、俺様のオチンポにご用命ですかなっ!?」

「お、犯して、私を犯して下さい……」

 レイプ希望女は女騎士の五つ隣に拘束されていた。

 こちらもまた金髪碧眼のムチムチ女だ。髪の毛はロングヘアー。尻もでかくて言うことがない。xvideoでbootyとか検索した経験のある俺としては、ロリもイケルが、ムチムチも捨てがたい。

ロリ画像ばっかり見てると、たまにはムチムチボインの尻とか胸とか見たくなる。カレーに福神漬けってやつだよ。

「女の身体が激しく疼くのですっ! 私の身体はもうっ……」

 涙目で懇願してくる。

 私を犯して下さいと。オマンコにオチンチンを突っ込んで下さいと。心底堪らなそうに訴えてくる。太ももを擦り合わせている。心なしか愛液の垂れる気配が。

 わかる、分かるぞ、お前が今に感じている性欲は。

 ペペローションを股の間に付けて、その太ももへ垂れゆく感触に、あぁ、愛液が止まらないの、ってやると楽しいもんな。

「マジかよ、おいおい、マジかよ」

 自己申告ならば仕方ない。

 さぁ、いざ素人童貞とさよならしようじゃないか。

 お金を払っていないから、素人童貞を脱したとカウントして良いのだ。これは愛だとか恋愛だとかより、遥かに重要なのだ。素人童貞にとってな。

「どうか、どうか、私を激しく突いて下さいっ!」

 興奮する俺。

 ひたすらに淫後を並べ続ける女。

「私は性奴として、調教されてきました。故に、これ以上の放置はっ……」

「うほぉおおおおおおっ!」

 なんというメス便所。今日という日、俺と出会う為に調教されてきたのだろう。これはチンポを突っ込まざるを得ない。突っ込まないなんて選択肢は無い。

 数日のオナ禁も手伝って、決断は即決。

「い、いくぜぇっ!」

「あぁ、待って下さいぃ。このような格好では、満足に腰を振ることもできません」

「と言うとぉっ!?」

「叶うならば、この拘束を解いて頂けませんでしょうか。そうすれば、下の口はもとより、手でも、上の口でも、私は楽しむことが叶います。全身で、オチンポっ、オチンポを味わいたいのですぅっ!」

「ほぉおお、それは素晴らしいぞオマンコ女!」

 俺のテンションはマックス!

 これはヤバイ。淫乱奴隷とかマジで最高。

 三十路を迎えるまで飼ってやろう。

 そこから先は知らん。適当にスイーツしてろ。

「おい、ロリマンコ! このマンコ奴隷の手錠を破壊せよっ!」

「本当に良いのですか? 恐らくその手錠は封印ですよ」

「いいからこのオマンコ奴隷を解放しろっ! 急ぐのだ!」

「……分かりました」

 ロリマンコが腕を振るう。

 応じて火花が飛び散り、女を拘束する手錠が破壊された。

 流石はロリマンコだ。良い仕事をする。

 おかげで俺も存分に淫乱ムチムチ女と脱素人童貞を楽しめるというものだ。

「っ!」

 結果、俺は羽交い締めだ。

 僅か数秒の出来事である。

「え?」

「ふふ、こんな馬鹿な男は初めてよ」

 なんだこりゃ。

「な、なんだとっ……」

 今まさに拘束より解かれた女が、俺の身体を拘束している。両腕を羽交い締めにして、一切の身動きを取れないように押さえつけている。

 唯一自由になる足で、咄嗟、股間へ後ろ蹴りを食らわせようとした。けれど、それも膝を重ねて塞がれてしまう。逆に膝小僧に脹ら脛が当たって痛い。

「そこの幼い魔術師。退きなさい。貴方の主人が死ぬわよ」

「どうするのですか、私の主人を」

 ちょっと待て、どういうことだマンコ奴隷。

 なんとなく騙されたような気がしないでもないが、今はひとまずステータスだ。

 ステータスを確認するぜ。もちろん、俺を拘束する女のステータスだ。


名前:レイチェル・カーサン
性別:女
種族:エルフ
レベル:98
ジョブ:戦士
HP:891/7100
MP:320/10030
STR:5400
VIT:3200
DEX:7920
AGI:6000
INT:8310
LUC: 540

 おいこら、俺より強いぞ、このマンコ奴隷。

 しかもエルフっ! エルフだよ、このエルフっ!

 ロリマンコよりは弱いけれど、俺よりは強い。

 どこかで見たぞこのパターン。

「お、おいっ、助けろよロリマンコっ!」

 冗談じゃ無い。

 こんなところで死んで堪るか。

 しかし、これに答えるロリマンコの主張は酷く控えめ。

「……不本意ながら、その者を解放しろと私は訪ねます」

 なんて、なんて謙虚な対応なんだよ、ロリマンコ。

 もっと強烈に主張して欲しいよ。

「そちらがこちらへ危害を加えないと約束するならば、この者に危害を加えないことを約束しましょう。けれど、一歩でもその場を動くことがあったのならば、即座に首をはねます。これは脅しではありません」

「うぉおおお、マンコ奴隷の口調が急に厳しものに変わったぞ、おい」

 急に自らの尊厳を取り戻したかのような態度だ。

 今までの、私はオマンコ奴隷です、的な振る舞いは皆無だ。

 猿が人間に進化したようだ。

 さっきのアヘ顔はどこいった。

 スマフォで写メっておけば良かった。

「分かりました。しかし、主人の解放は約束して下さい。でなければ、私はこの場で如何なる犠牲を払おうとも、貴方を殺さねばなりません」

「……かなり精緻に作られたマリオネットのようですね」

「不本意ながら、そのように作られておりますので」

「まあ、この場に助けられたことは事実です。約束しましょう」

「エルフの神に誓いますか?」

 ロリマンコの問いに神妙な表情となって答えるマンコ奴隷。

「……分かりました。誓います」

「では、解放した主人は冒険者ギルドと呼ばれる施設へ放流して下さい」

「大変に不本意ですが、承知しました」

 そして、俺の主義主張など放って、ロリマンコとマンコ奴隷の間では勝手に交わされる約束。なんだこれ。どうなってんだよ。

 俺の天下はどこいった。不満を口にする暇もない。

 次の瞬間には、マンコ奴隷に抱えられて、俺の身体は宙を舞っていた。ロリマンコの頭上をひらり越えて、地下室を後とする。

 脱、領主の屋敷だった。

		◇		◆		◇

「マジふざけんなよ、あの長耳マンコ奴隷がっ……」

「馬鹿だとは思っていましたが、あそこまでとは私も想定外でした」

 拉致られた俺は、ロリマンコと淫乱メス奴隷との約束に基づいて、冒険者ギルドと呼ばれる場所で解放された。

 素っ裸のエルフに拘束されてた事実は、それ相応に興奮した。が、セックスはおろかフェラやクンニすらできなくて、非常にストレスフルな時間だった。

 そして、今は同所を後として、街を歩む限り。

「うるせぇよ。あんな非日常、絶対に騙されるに決まってるだろっ!? ちょっとコンビニ行った帰りに、レイプ被害に遭ってる女子高生とかいて、助けたらオマンコ開いてくれて、んじゃ一発と思ったら、隠してたナイフでグサッ、そんな感じだろ」

「言っていることの意味が分かりません」

 くっそ、マジくっそ。

 こんなことなら女騎士に中出しキメてから手を出すんだった。勿体ないことした。すげぇ勿体ないことした。素人童貞脱出をキメる最高の機会だったのに。

「これからどうするのですか?」

「黙れロリマンコ、俺は夢を夢では終わらせないぜ」

「はい?」

「俺は奴隷ハーレムを作り上げてみせる! 絶対にだっ!」

「その熱意を他に向けられないのですか。この主人は」

 やっぱり巨乳が良くなかった。あれがロリだったのなら、俺は今頃、幸せオマンコ天国にいた筈だ。相手が巨乳だったから、拉致られて、逆に危ない目に遭ったのだ。

 次はロリだ。ロリ奴隷を探す。

 巨乳奴隷があれだけ居るんだ、ロリ奴隷だっている筈だ。

「行くぞ、ロリマンコ。ロリ奴隷を探しに!」

「……具体的にどこへ行くのですか?」

「そんなもん、ロリ奴隷市場に決まってるだろ!?」

「そんなニッチな市場があるのですか?」

「巨乳奴隷ハーレムを作ろうなんてヤツがいるんだから、絶対にある!」

 絶対に探し出してやろう。

 行動あるのみだ。

「行くぞ、ロリマンコ!」

「拒否したいです」

「許さん! 怪しそうなところを片っ端から攻めてくぞっ!」

 やるならばとことんだ。

 絶対にザー汁便所ロリ奴隷を大人買いしてやる。

		◇		◆		◇

 街行く人々に尋ねまくった。小さい女の子を扱う奴隷市場はありませんか。小さい女の子を購入できる奴隷市場はありませんか。

 結果、一人から有力な情報をゲット。

 なんでもこちらの世界では奴隷制度が現役だそうで、子供だろうと大人だろうと、敗戦国の国民は、基本的に戦勝国の奴隷らしい。

 そして、この街では領主がムチムチボイン派。綺麗めのムチムチボインは全て持っていってしまう代わりに、ロリロリプニプニは全て市民に開放されるそうな。

 解放された奴隷は奴隷市場に運ばれて、そこで競売に掛けられるらしい。購入は誰でも可能とのこと。要はヤフオクみたいな感じらしい。

 ということで、やってきました奴隷市場。

 ロリに限らず色々な奴隷を扱ってる。男も女もそれ以外も。

「おぉ、スゲェ、奴隷だ、奴隷。マジで売ってやがる」

「戦力という意味では、そこのイケメン細マッチョをオススメします。股間の膨らみを眺めるかぎり、なかなか具合の良さそうなものを持っていそうです」

「却下だ。イケメンとかふざけんな。買ったら即日でぶっ殺す自信あるわ」

 ふざけたことを抜かすロリマンコだ。

 そんなことをして、俺の嫉妬が燃え上がっても知らないぞ。コイツがイケメンに犯されているシーンなんて見たら、もう、俺は俺じゃなくなってしまう。ロリマンコは俺のだ。俺のロリマンコだ。

 っていうか、そこの奴隷、別にイケメンというほどではないような気がするが。

「ということで、当初の目的通りザー汁ロリ奴隷を見に行くぞ」

「主人が買うのであれば、従者にも二人は欲しいところです」

「ロリだったら買ってやる。ロリだったら」

「ロリよりイケメン細マッチョが良いです。同性と不細工は嫌です」

「却下だ!」

 奴隷マイスターに溢れる奴隷市場をロリマンコと共に歩む。

 一口に奴隷と言っても色々だ。男も女も、若いのも年寄りも、耳が生えたのから羽が生えたのまで。よりどりみどり。選びたい放題。

 天使っぽい羽が生えてるヤツとかもいて、アレでチンコを掠めコキして貰ったら、くすぐったい中にもそこはかとない快感が得られるのではないかと一考。

「あちらでオークションが開かれるようですね」

 向かう先には大型のテント。

 その下に指された立て看板を眺めてロリマンコが言う。

 なんと興味をそそられる単語だろう。奴隷のオークションとか最高。人間をもののように売り買いするとかマジ最高。俺も生まれ変わったら奴隷商人になって、幼女を物のように手酷く扱ってみたかったんだ。

「ほほぅ」

「その目はなんですか? 気色悪いです」

「質の良い幼女はオークション、公衆の面前でオマンコくぱぁと相場が決まってる」

「お金の無駄です。そこの露天でイケメン細マッチョを買いましょう」

「行くぞオークション!」

 細マッチョの股間を物欲しそうに眺めるロリマンコの腕を掴む。そのまま無理矢理に引っ張って、オークション会場へと向かった。

 割と本気で嫉妬が止まらないぜ。

		◇		◆		◇

 オークション会場は屋外に設営されたテントだった。それなりの期間が経っているのか、打たれた杭やら柱やらには年季を感じる。恐らくは同奴隷市場において、中心に位置する催し会場なのだろう。

 一歩を踏み込めば、熱気も大したものである。

「五万っ!」

「六万っ!」

「えぇいっ! 十万だっ! 十万っ!」

 オークション会場は白熱していた。

 競り落とされるのは、大半が女。それもロリが多い。性奴隷を競り落とすべく、脂ぎった男達が必死の形相に声を上げていた。巨乳が領主に取られてしまうからなのか。それとも目指すところがそのものなのか。いずれにせよロリに溢れたテントである。

 そう、まさに俺が望んでいた場所だ。ロリ奴隷市場。

「ここは天国だ……」

「地獄と天国は同居できるようですね」

「おまんこぉおお!」

「壊れましたか」

「行くぞっ! 入札だ! あの裸体を今すぐにペロペロするぞ!」

 オークション会場。参加者の注目を集めるのはテント中央に設けられた壇上。まるでサーカスの舞台を思わせる作りの内側。その只中に競りは行われていた。客は大半が男だ。それも血走った目で、品となる幼女を凝視する生粋のロリコン達だ。

「よし、金髪ロリだ。次ぎに金髪ロリが出たら入札するぞ」

「この阿呆な主人が入札などという単語を知っているとは驚きです」

「いいから、手を上げるぞ! 上げて上げまくるぞ!」

「お金はどうするんですか?」

「成金スライムのやつがあるだろ」

「持ってきてませんが?」

「なら貰うものだけ貰って、お前の魔法でとんずらこけばいいだろ? ダンジョンの中まで逃げちまえば、追ってこれるやつなんていねぇ。そして、俺は宿屋で金髪ロリと二十四時間耐久中出し妊娠セックス陵辱萌え萌え最終的には和姦へ至るぞショータイム」

「性根が腐ってますね」

「いいから、ちゃんと頼んだぞ」

「……まったくもって不本意です。どうせなら細マッチョが良いです」

「男なんて買ったら即日で殺す!」

「いっそホモになれば良いと思います」

「ねーよ!」

 ロリマンコと話をしている内に、次の商品が壇上へ上がった。

 次ぎもロリだ! やっぱりロリだ! もうロリしかねぇよ!

「さぁ、次は目玉商品となります!」

 壇上に司会の男が声を上げる。

 目玉商品きた! 目玉商品きたよ! きたこれ!

「まさかまさか、タョシ族の出品ですっ!」

 司会が言葉を発する。

 舞台脇から首輪の繋がれたロリが入場だ!

 途端、会場から喝采が挙がった。うぉおおおおおおお、って感じだ。まるで声優のイベントでも眺めているようだった。どんだけスゴイだよ、タョシ族ってのは。俺までテンション上がっちまうだろうが。

 華奢だし、目が死んでるし、首輪だし。金髪ロングだし。

 あと頭に獣耳生えてるし。

 堪らねぇよ。くっそ、くっそ、オマンコパワー全開だよ。

「おいおい、ロリマンコ、これってばやばくないか?」

「やばくないです。さっさと終わらせて下さい」

「くっそ、クール気取りやがって。既にお前はクールキャラ枠外れてるぞ」

「何の話ですか」

「しらねぇよ」

 それよりも今はオークションだ! タョシ族だ!

「十万!」

「二十万!」

「こっちは三十万だ!」

 凄い勢いで価格が上がってく。ヤフオクもビックリだ。

 だがしかし、この程度で負ける俺じゃねぇよ。

「ならば俺様は百万だ! そのロリロリ幼女に百万だ!」

 手を上げて大声で、言ってやった。言ってやったぜ!

 途端、周囲から視線が集まる。

 驚いた様子でこちらを見ている。

 なんて心地の良い気分だろう。自分が持っていない金を前提に競りをして、然る後、全力で踏み倒す算段を立てている気分というのは。

 おらおら、入札できるもんならしてみろよ。俺は一円も支払わないからな。領収書だって要らないからな。

 できないだろ? 一桁違うもんな!

「ならば二百万だ!」

 されたよ!

「なら、こっちは三百だ! 三百!」

 しかし、即座に反撃。念願の金髪ロリを逃してなるものか。

 ロリマンコも金髪ロリだが、ヤツはサディスティックロリータだ。俺とは相性が良くない。俺が欲しいのは、ご主人様、オマンコにオチンチンをつっこんでグッチュグッチュして下さぁあぃいいいい、とか絶叫できる淫乱なマゾヒスティックロリータなんだ。

「いいのか? 三百、三百だぞ?」

 挑発してやる。どうだ? どうなんだ?

 お前のロリパワーはそんなものなのか?

「くっ……」

 二百万だと吠えた男の顔が、苦渋の色に染まる。

 負けねぇ、負けねぇよ。俺様は。

 そこなロリロリ幼女をゲットする為だったら、幾らでも値をつり上げるぜ。俺の脳内では、既にタョシ族とやらのマンコへ、我がチンポを突っ込む光景が、一足お先に展開されているんだ。

「さ、三百十万!」

「四百万!」

「なっ……」

 上限を知らない俺の掛け声に競り相手は絶句。

 そもそも、一万がどの程度の額なのかすら理解していないのだから、当然と言えば当然だ。仕方がない。無知とは力だ。無知とはこの世で最も強力な意思の根拠なのだ。

 俺はロリロリ幼女が欲しい! ただそれだけだ!

 そう、俺はこの世のロリの全てを手に入れる、ロリ王となるべき人材!

「どうした? おい、俺のロリロリ幼女は、絶対に渡さないぜ?」

 ニヒルな笑顔を浮かべて、競り相手に言ってやる。

 今の俺は、なんとか族のロリを迎え入れるべく、ダンディーモードだ。どんな強面だって怖くねぇ。幾ら脅されたって、このロリは譲れねぇ。せめて一回くらいはセックスしたい。中出し種付けセックスしたいんだよ。

「……くっ」

 結果、相手が折れた。

 続く声はない。

 だから、だから俺の勝ちだ。

 四百万の勝ちだ。

「っしゃあっ!」

 思わずガッツポーズ! ロリロリ幼女、ゲットだぜ!

「四百万、四百万での落札です! ありがとうございまぁすっ!」

 想定以上に白熱を見せたのだろう。

 司会の男もまた声を荒げて、感謝の言葉を口とした。

「それで、どうするのですか?」

「今はまあ待て。きっと、後で支払いとか引き渡しとか、そういう場面になるんだ」

「無駄に頭を働かせてくれますね」

「俺は、身も心も美しいロリとセックスをする為に生きている。当然だ」

「帰りに細マッチョも買います」

「それは駄目だ。反吐がでる」

「…………」

 そんな具合で、俺のオークションデビューは終わった。

		◇		◆		◇

 結論から言うと、商品を受け取りに行った瞬間、自決された。

 目の前で自殺された。

 死んじまった。なんとか族のロリ。

「お、おいっ……」

「申し訳ありませんっ! お客様、このようなことになろうとは……」

 俺の前、床に横たわるのは、うんともすんとも言わないロリータの身体。口から血を流している。舌でもかみ切ったのか。それとも他にファンタジーな世界に相応しい、魔法的な何かがあったのか。

 いずれにせよ死んでいた。

「ど、どぉおおすんだよぉおおおおおおっ! 俺のロリィタァァアア!」

「申し訳ございませんっ! 大変に申し訳ございませんっ!」

 俺が吠えると、司会をしていた男は平謝り。ひたすらに頭を下げる。

 ちなみに場所はテントの裏側、事務所を思わせる小屋の一室だ。

「因果応報ですね」

「俺がいつなにをしたよっ!?」

「色々としたじゃないですか」

「してねぇよっ!」

 くっそ、俺のロリロリ幼女とバラ色セックスライフが。

「おい店主っ!」

「は、はい、なんでしょうか?」

「この死体は貰ってくぞっ!? もちろん、金は払わんっ!」

「え? し、死体をですか?」

「客に渡す商品を殺した上、死体すらも渡さないというのか? あぁ?」

「い、いえ、そういうことでしたら、あの、このような状態でよろしいのなら……」

「当然だなっ! 貰ってくから、後でいちゃもんつけるんじゃねぇぞ!」

「はい、あの、それでよろしいというのであれば……」

 きっと、俺を貴族か何かだと勘違いしたのだろう。死体を持ち去ろうとすると、男はこれといって反感を見せなかった。むしろ、死体を攫うことで、その鬱憤が晴れるのならば幸いだと言わんばかりの態度だろう。

「くっそ、ふざけたオークションだぜっ」

「は、はい。この度は誠に申し訳ありませんでした」

「まったくだぜ。次ぎに来るときは、こういうのは無しにして貰いたいもんだな!」

「もちろんっ、そ、その際はVIP室をご用意させて頂きます!」

「おうっ! 期待して待ってるぜ?」

 なんという俺様エリート。素晴らしい。これが金持ちパワーか。

 今後とも続けていきたい気分だぜ。

「んじゃ、またな」

「はい。今後とも、よろしくお願い致します」

 死んでしまったロリロリ幼女を背負って、俺は一室を後とした。

 後ろには無言のまま、ロリマンコが続いた。

		◇		◆		◇

「しっかし、こうも上手く行くとは、流石は俺の演技力だ!」

「私の能力と機転を褒めて下さい」

「ああ、大したもんだ。ロリゲッターの功績を称えてやろう」

「まったく嬉しくないですね」

「今はそれより、このロリのマンコだ。セックスだ」

 ロリマンコの魔法で、幻惑とか、誘惑とか、そういう感じだったのだ。実は生きていたタョシ族な売り物少女。これを回収して、今、俺とロリマンコは、つい先日に開店したばかりのダンジョン宿屋にいる。

 そのベッドの上、念願のロリータは息を吹き返して、僅かに胸を上下させている。

「いざ、ご開帳っ!」

 叫んでタョシ族なロリの衣服をはぎ取る。

 はぎ取る。

 はぎ取る!

 特に下半身を重点的に。下着まで。

 すると、視界に飛び込んできたのは、なんでだよ!

「ち、チンコがついてるっ! しかも、俺よりも大きいっ!」

「タョシ族なのですから、当然ではないですか」

「は!? なんでだよっ!? どうしてだよっ!?」

「タョシ族は男しか生まれない種族です。ただ、その外見は女性的なものであり、人に囚われた場合は、大半が愛玩用として市場に出回るような、生臭い生き物です。当然、胸も膨らみます。ですから、主に性奴隷として利用されます」

「詐欺だっ! そんなの詐欺だろっ!? チンコでチンコをしごけるか!」

「てっきり、私は主人がホモに目覚めたものだとばかり」

「誰が目覚めるかっ! 尻が痒くなるわ! 俺はこういうのが最高に嫌いだ!」

 くっそ、ふざけんな。不良品だ! こんなの不良品だ!

 俺はマンコが欲しいんだ! ロリロリなマンコが何よりも欲しいんだ!

 チンコ付いてる肉便器とか要らねぇよ。

「つまり、これは頑張った私へのご褒美ということですね」

 ロリマンコがニヤニヤといやらしい笑みを浮かべ問うてくる。

 コイツ、全てを理解した上で俺に協力してたのか。

「や、やらねぇよっ! 絶対にやらねぇよっ! オマエだけにはっ!」

「嫉妬ですか? 見苦しいですね」

「うぐっ……」

「しかも、主人のアレはこれよりも小さい、と」

「こ、このっ……」

 このロリマンコ、まさか自分のロリマンコに、このショタチンコを挿入するつもりじゃないだろうな。そんなの俺は認めない。俺は絶対に認めないぞ。

 ロリマンコの初めては俺のものなんだ。他の誰にも譲れねぇ。例え歯を全部、吹っ飛ばされたとしても、俺が一番膣を頂くんだ!

「では、ありがたく頂戴しましょう。タョシ族は膨張率が凄いらしいですから」

「駄目だっ! これだけはやらんっ! 絶対にやらんっ!」

「ではご自分で利用するのですか?」

「なんでそうなるんだよっ!?」

「主人が使うというのならば、仕方ありません。私は涙を飲んで諦めましょう」

「俺には使い道なんてねぇよっ!」

「では下さい」

「このっ……」

 そこまでこのチンコ野郎が欲しいのか。なんて淫乱なんだロリマンコ。ますます可愛いじゃねぇか。くっそ、その性欲がどうして俺に向かない。どうしてなんだよ。

 嫉妬で身が焦げそうだ。

「使わないのですか? もったいない」

「も、もったいないとか、そんな……」

「では頂きますね」

 ロリマンコの手がチンコ付き野郎に伸びる。

 それだけは許せん!

「……わ、分かったっ! 俺が、俺が使う! それなら俺が使う!」

「本当ですか?」

「本当だっ!」

 ロリマンコのロリマンコをゲットする為だ、なりふり構っていられないぜ。

「仕方在りません。では諦めるとしましょう」

「ふんっ、そ、そうしとけ。オマエの膣には相応しい肉棒が既に存在しているのだ」

「短小包茎だけは勘弁ですね」

「こ、このっ……」

 なんて生意気なマリオネットだ。

 だが、最悪のシナリオは回避された。ほっと一息だ。

		◇		◆		◇

 その日の晩、手に入れたショタ野郎をコックへ譲ることとした。未だに意識を失ったままのチンポコタロウは、ベッドに眠っている。

 ちなみにコックはロリマンコのルーラで普通に戻ってきた。昼のうちに待ち合わせをしていた広場まで、我が家のマリオネットは甲斐甲斐しくも迎えに行ったのだ。

 そうして訪れる団欒。ベッドに横たわるショタを囲んで団欒。

「おい大将、こりゃなんだ?」

 コックが訪ねてきた。

「お前、ホモか?」

 なので訪ね返す。

「は? いきなりなんだそりゃ」

「ホモならくれてやるよ」

 俺は要らない。チンコは要らない。

「悪いがホモじゃねぇわ。っていうか、おい、まさか、そっちの気があるのか? 流石にそれは勘弁して貰いてぇんだがよぉ……」

「ねぇから行き先を探してんだよ。あれば速攻で喰らってるだろjk」

「だからって俺に回すんじゃねぇよ。まさか攫ってきたのか?」

「ちげぇよ。奴隷だよ、奴隷」

「ああ、奴隷か。ビビらせないでくれよな」

 ベッドの上のショタ野郎を一瞥して、コックは少しばかり落ち着きを取り戻した。どうやら奴隷という存在は、ごく一般的なものらしい。

「しかし、女みたいな顔の奴隷だな。モッコリしてなかったら分からねぇよ」

「だろ? おかげでこのざまだ」

「なるほどな、理解したわ」

 ベッドで眠るショタは上が素っ裸。下はパンツ一丁という出で立ちだ。オークション会場ではシャツのようなものを着ていたが、ロリマンコがはぎ取った。曰く、臭いので洗濯します、とのこと。

 汚されるのが嫌なのだろうか。だとすれば、意外とこの宿屋を気に入っているのかもしれない。部屋を出て行ったのがつい今し方のこと。何やら調理場の脇に水場を作り、そこでゴシゴシとやっているようだ。

「んで、こいつはどうするんだ?」

「お前が要らないっていうなら、そこいらのモンスターの餌だろ」

「それはちと酷くないか?」

「だってチンコ付いてるし」

「俺もお前も付いてるだろうが」

「若くて綺麗で将来性のある男なんて見ててムカツクだけだ」

「身も蓋もねぇな」

「まあ、とりあえず起こすか」

 いつまでも眠ってられても邪魔だ。ベッドが勿体ない。

「おら、起きろやショタチンコっ」

 頬をペチペチと叩いてやる。

 けれど、なかなか起きない。数発を殴ったところで、面倒になった。

「起きろってっ!」

 グーパンした。

 良い感じの衝撃が拳に来た。

「ひぐっ!?」

 その衝撃でショタ野郎も目を覚ました。

「やっと起きたか」

「え? あ、こ、ここはっ……」

「ようこそダンジョン宿屋へ。一泊百万ゴールドになります」

「ひゃ、ひゃくっ!? そんなっ、宿屋ってあのっ、僕、お金なくてっ……」

「払えないヤツは死んで償え。さようなら君の人生」

 無駄にサラサラとしたロングな金髪をふん掴んで引っ張る。無理矢理にベッドの上から引きずり下ろして、一路、俺の歩みは宿屋の出入り口となるドアへ。

「い、痛いですっ、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ!」

「おいおい、流石に止めてやれよ。なんか可哀想になってくるわ」

「だったらオッサンが使うか? 俺は別に構わないぞ」

「な、なんでそうなるんだよ?」

「だってそういう感じの種族らしいぞ? ロリマンコが言ってた」

「……だからって、俺は要らねぇよ。それなら綺麗なねーちゃん用意してくれ」

「じゃあ誰も要らないので、これは捨て……」

 そのまま宿屋の外へ放り出そうとしたところで、バタン、隣のキッチンへ続くドアが勢いよく開いた。何事かと思えばロリマンコだ。ショタ野郎のシャツを片手に、こちらへズンズンと歩み寄ってくる。

「おおっと待って下さい。主人が使わないなら私が貰います」

「ぐっ……」

「捨てるのは勿体ないです。そのモッコリは私の物になります」

「わ、分かった。くそ、俺が持っておく……」

 この地獄耳め。

 誰がお前にイケメンショタチンコをくれてやるものか。

「あの、あ、貴方が僕を買った方でしょうか?」

「だったらなんだ?」

「え、あ、いや、なんだっていうか、その、あの……」

 ジロリ、睨み付けるとショタは途端に萎縮した。

「……ご、ごめんなさい」

「ふん、まあいい。せいぜいこき使ってやるぜ」

 そのイケメンが俺と同じブサメンに変わるくらい酷使してやる。

「この主人は本当に最悪ですね」

「どっちが最悪だ、こっちこそ良い迷惑だぜ!」

「せっかくのモッコリをなんという扱いでしょう」

「うぉおおおおおおっ、それが凄く嫌なんだよっ! くっそぉおおおっ」

 イケメンかっ!? そんなにイケメンがいいのかっ!?

 デカチンかっ!? そんなにデカチンがいいのかっ!?

 くっそ、くっそっ、肉体の出来不出来で人間を競うんじゃねぇよっ!

 ああもうムカツクなあっ、ちくしょうめがっ!

「おい、クソショタ野郎っ! とりあえず便所の掃除でもして貰おうかっ!」

「は、はいっ! なんでも致しますからご勘弁をっ……」

「こっちだ! 付いてこいこのクソショタ野郎がっ! なよなよしやがって!」

「ごめんなさいっ、す、すみませんっ!」

「謝ってる暇があったらキリキリと歩けっ!」

「はいぃっ!」

 くっそ、これで女だったら、まさに俺が求めていたロリだったのに。